研究活動紹介
壮年期から切れ目のない生活習慣病予防支援システムの開発
名前 | 浜崎 優子(保健医療技術学部 看護学科) |
---|---|
科研費種別 | 基盤研究C |
研究課題 | 前期高齢者の効果的・効率的支援の為の介護予防と特定保健指導との連携システムの開発 |
研究期間 | 2015 〜2019 |
研究目的
生活習慣病予防と介護予防との連携に関する取り組み状況や先駆的な事業を調査し、どのような連携が前期高齢者の生活習慣病の重症化予防および介護予防に資するのかを明らかにするとともに、グッドプラクティス(優良事例)を集積し、成人期から高齢期までの切れ目のない支援が可能となる連携システムモデル(以下、連携システムモデル)の開発を目的とした。
研究内容
1.全国調査:前期高齢者の生活習慣病予防と介護予防との連携に関するアンケート
全国の市区町村(1,841か所)の特定健診・保健指導の主管部署の担当保健師を対象に自記式質問紙調査(郵送法)を実施した。調査期間:2018年1月から3月
調査項目は、所属機関の属性、特定保健指導を行う上での健康課題、前期高齢者に対する重症化予防対策、介護予防担当部署との連携、他部署とのデータベースの情報共有などである。定量データはすべて数量化しSPSSを用いて分析した。自由記述の内容は質的帰納的に分析した。
2.インタビュー調査
事前の全国アンケート調査でインタビュー調査の同意を得た14自治体19名の特定健診・特定保健指導および介護予防の担当者を対象に実施した。対象者の勤務先など指定された場所にて約90分の半構造化面接を行った。面接内容は対象者の了解を得て録音した。調査期間:2018年9月から11月
調査項目は、特定保健指導と介護予防との連携や課題などである。録音した面接内容を逐語録に起こし、目的に沿ったグッドプラクティスを抽出し、質的帰納的に分析した。分析過程では研究者間でディスカッションを重ね、妥当性の確保を行った。

表1:特定健診・特定保健指導部署と介護予防部署との連携における保健師のグッドプラクティス

表2:特定健診・特定保健指導部署と介護予防部署との連携に関する課題
1,2ともに本学の「人を対象とする研究」倫理審査の承認を得て実施した。
研究成果
本研究では、全国調査結果およびインタビュー調査結果から、特定健診・特定保健指導部署と介護予防部署との連携に関するグッドプラクティスと課題(表1,表2)を分析し、連携システムモデル(図1)を開発した。
連携システムモデルにおける効果的・効率的な連携は、第1段階:連携の基盤作り、第2段階:共通認識の構築、第3段階:共創の3つの連携の段階を基本としている。そして、各段階において、「人・組織の連携」と「情報の連携」の2側面の連携を実施していく必要がある。
第1、第2、第3段階は、一般的な連携の基本といえる。今回の調査研究の結果から、この連携の各段階で、「人・組織の連携」と「情報の連携」の二側面の同時進行の重要性が明らかになった。

図1:特定健診・特定保健指導部署と介護予防部署との連携システムモデル
研究者紹介

浜崎 優子(保健医療技術学部 看護学科)
専門分野
公衆衛生看護学、地域看護学
科学研究費採択
- 基盤研究C「虚弱高齢者に対する介護予防サポーターによる「声かけ訪問」プログラムの開発と評価」2012-2014
- 基盤研究C「地域高齢者の介護予防事業への参加状況と生活機能の変化に関する追跡調査」2009-2011
最近の業績
- 「Non-participation in health checkup and Kihon Checklist predicts loss of certification-free survival in community-dwelling older adults.」Geriatr Gerontol Int(2019年)
- 「An assessment of stress coping for mental health promotion among Information Technology employees in Japan」Archives of Depression & Anxiety(2019年)
- 「The difference in the impact of homebound status on functional decline between independent older people men and women: A two-year follow-up study」Japan Journal of Nursing Science(2016年)
- 「虚弱高齢者に対する「声かけ訪問」のための介護予防サポーター養成プログラムの実施と評価」北陸公衆衛生学会誌(2015年)
- 「介護予防事業対象者選定における生活機能検査の参加状況と要介護状態発生との関連」日本公衆衛生雑誌(2012年)
受賞業績
- 佛教大学学術賞(2018)
- 日本在宅ケア学会奨励論文賞(2012)
その他業績

出版物
前期高齢者の効果的・効率的支援の為の介護予防と特定保健指導との連携システムの開発
2020年

出版物
セルフ・ネグレクトの人への支援
(中央法規出版)
2015年