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評価が変わる、学びが変わる

名前 田中 耕治(教育学部 教育学科)
科研費種別 基盤研究C
研究課題 アクティブ・ラーニングを生かしたカリキュラムと評価方法の開発
研究期間 2016 〜2019

研究目的

日本および諸外国の初等・中等教育段階において保証が目指されているコンピテンシー(資質・能力)の内実を明らかにし、アクティブ・ラーニングを活用した効果的な指導と評価基準・評価方法を明らかにすることを目的とした。「主体的で、対話的で、深い学び」をめざすアクティブ・ラーニングを実現する、カリキュラムの構想と新しい評価のあり方を探究しようとした。

研究内容と成果

新しい教育評価研究の観点に基づいて、研究代表者と研究分担者とともに、教育現場や全国の教育評価の研究者たちと連携して、教育実践を変革できる新しい評価方法の可能性を追究した。その教育現場の連携校として、京都市立高倉小学校、京都府立園部高等学校・附属中学校をはじめとする全国の小学校や中学・高校を訪問し授業観察を行い、先進的事例の調査を行った。これらの連携校との間で共同授業研究を行い、コンピテンシーの育成を目指した授業づくりに関する研究を行ってきた。小学校においては、継続的に研究を進めることで、学年を超えて、子どもの学習成果の実例と対応させながら評価規準を吟味することができた。加えて、高等学校の総合的な学習の時間や理科課題研究における探究の指導を通して育まれるコンピテンシーの内実とその成長について検討することで、既存の評価規準の練り直しを行った。

また、諸外国におけるコンピテンシーの内実を明らかにするため、米国の中等学校や高等教育機関における指導力向上の取り組みや中国・韓国の初等教育の実際について現地調査を行った。米国においてはPISA調査が教育動向に与えた影響を子細に調査した。

その成果の一端は、田中耕治編『シリーズ・学びを変える新しい学習評価』において結実させ、新しい評価の在り方・取り組み方を深く読み取り、授業づくりにつなげるための「解説+実践」書として上梓した。そのシリーズの全体構成は、「評価と指導の理論・実践編」全3巻(小中学校共通)と、「指導要録・通知表の文例編」(小学校/中学校各1巻)全2巻の合計5巻とした。

『シリーズ:学びを変える新しい学習評価』ぎょうせい (2019)
「理論・実践編1 資質・能力の育成と新しい学習評価」
「理論・実践編2 各教科等の学びと新しい学習評価」
「理論・実践編3 評価と授業をつなぐ手法と実践」
「文例編 新しい学びに向けた新指導要録・通知表〈小学校〉」
「文例編 新しい学びに向けた新指導要録・通知表〈中学校〉」

今後の展望

選択回答式の客観テストの信頼性が高いという理由で多用されると、いわゆる「〇×式思考」と言われる低次の学力しか測ることが出来ない。入学試験において、記述式問題の採用が促されるのは、このような理由からである。さらには、思考力を高める探究的な授業が行われても、評価場面では、相変わらず客観テストのみが実施される場合には、結果的に、生徒の側は低次の学力に馴化してしまい、教師の側においても、その探究的な授業の成否を評価することが出来ないのである。

形成する学力レベルの違いに応じて評価方法を選択するという「カリキュラム適合性」(図1)を念頭に置いて、客観テストの有効性と限界とを見極め、多様な評価方法を組み合わせることが求められている。

とりわけ、提示された正答を選択する客観テストとは異なり、生徒が思考したことを表現する場面を採用する評価方法の開発(たとえば、パフォーマンス評価法、作問法、概念地図法など)が急がれている。まさしく評価が変わることによって子どもたちの学びも変わるのである。

図1:カリキュラム適合性
「出典:西岡加名恵編著『高等学校 教科と探究の新しい学習評価-観点別評価とパフォーマンス評価実践事例集』学事出版、2020年、p.10)

研究者紹介

田中 耕治(教育学部 教育学科)

専門分野

教育方法学、教育評価論

科学研究費採択

  • 基盤研究C「思考力・判断力・表現力育成のための長期的ルーブリックの開発」2013-2015
  • 基盤研究C「「活用」を促進する評価と授業の探究」2010-2012
  • 基盤研究C「リテラシーの育成を目指す評価規準と評価方法の開発」2007-2009
  • 基盤研究C「学力向上をめざす評価規準と評価方法の開発」2004-2006
  • 基盤研究C「日米両国における小学生の数学思考の発達に関する比較研究」2001-2002
  • 基盤研究C「日中両国における小学生の数学思考の発達に関する比較研究」1999-2000

最近の業績

  • 『学びを変える新しい学習評価 シリーズ全5巻』ぎょうせい(2019年)
  • 「学習評価とカリキュラム」日本カリキュラム学会編『現代カリキュラム研究の動向と展望』教育出版(2019年)
  • 「高大接続における入試のあり方」大学基準協会『大学評価研究』第18号(2019年)
  • Restropective and Prospective on the Educational Assessment inPost-war Japan.,in Cristina Alarcón/Martin Lawn .,Assessment Cultures(2018年)
  • 『教育評価研究の回顧と展望』日本標準(2017年)

その他業績

教育評価研究の回顧と展望(日本標準)

出版物

教育評価研究の回顧と展望(日本標準)
2017年

Restropective and Prospective on the Educational Assessment inPost-war Japan.,in Cristina Alarcón/Martin Lawn .,Assessment Cultures

出版物

Restropective and Prospective on the Educational Assessment inPost-war Japan.,in Cristina Alarcón/Martin Lawn .,Assessment Cultures
2018年

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