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子どもの貧困って何だ!?

名前 武内 一(社会福祉学部 社会福祉学科)
科研費種別 基盤研究C
研究課題 社会小児科学の視点からみた子どもの貧困解決
研究期間 2017-2019

研究目的

子どもの貧困が、大きく取り上げられるようになっています。その数は6人に1人と言われています。この数字の意味は何でしょう。貧困の物差しは他にもあるのかもしれない。そんな疑問を明らかにするのが、私の研究のテーマです。

私は、元々小児科医として臨床の現場でいろんなご家族に出会ってきました。ご自宅にも伺いました。そんな中で気づいてきた貧困など生活に苦労されている人々は、どうしてそうあらねばならないのか、とても気になりだしました。

これってこの人たち自身のせいなのか?何か違う、世の中がどうもちゃんと支えられてないからなのではないか?そう思うようになり、医療と福祉をつなぐ役割をしたいと思うようになりました。

研究内容

私の研究の柱は三本です。

一つ目は、2014-15年にかけ全国の医療機関に協力してもらって実施した子育て世代への新生児、入院児、通院学童の家族を対象にした三つの調査を英文誌に投稿することです。2017年度一年間、スウェーデンにあるウメオ大学医学部「疫学とグローバルヘルス ユニット」で研究生活をする機会をいただきました。その間、国際社会小児科学小児保健学会(ISSOP)とヨーロッパ公衆衛生学会(EPH)でこの調査に関する演題を発表しましたが、それらをまとめて、医療からみえてくる日本の子どもの貧困を海外の研究者にもわかるように公表したいと思っています。

二つ目は、子どもの貧困の背景を、主に世界銀行やOECD、世界保健機関、ユニセフなどが公表している統計データを参考に国際比較することです。日本と比較する国は二つです。まずは勉強に行っていたスウェーデンです。この国は日本と異なる政策を進めていて、難民も大勢受け入れています。経済だけでなく社会の公平性や人権を大事にすることで、社会福祉を充実させてきた国の代表です。もう一つは、日本同様、お金を儲ける経済の仕組みを最優先として競争することでより豊かな社会をつくっていこうと考えている同じ島国のイギリスです。しかし、日本では年々子どもの貧困が深刻になっているのに対して、この国の様子には大きな違いがあります。イギリス は、最近の10年間で大幅に子どもの貧困を減らしてきました。この2つ目の研究から解明するべき課題に子どものケイパビリティー(その子のもっている能力や可能性)の最適化を挙げ、海外の研究者とともに理念や思想といった問題にも踏み込みます。

三つ目は、最初の調査をより精度を上げて規模も拡大して行おうという壮 大な全国規模の調査です。医療機関を支える地域住民(共同組織といいます)に協力していただき、収入に基づいた子どもの生活実態を尋ねる調査で、国際比較できるように質問も工夫しました。この調査は2019年に実施し ます。

これらの一連の研究のすべてが完了するのは、開始から4年目になる 2020年で考えています。今年の11月25日(日)9時から名古屋駅前の「ウインク愛知」小ホールで、貧困と子どもの健康に関するシンポジウムを開催し ます。講師に共同研究者であるイヴァルソン教授(スウェーデン、ウメオ大 学)をお招きして「すべての子どもにとってのよき人生のスタート -スウェー デンの取り組み」をお話しいただき、日本の子どもの貧困の第一人者である 沖縄大学の山野良一教授と対談していただきます。

研究結果

一つ目の研究からグラフを一つ紹介します(図1)。これは、家族一人当たりの年収が貧困ライン以下の場合とさらに少ない100万円以下の場合、どの程度の方が生活保護を受けているかを示したものです。生活保護は、住んでいる地域や家族構成でその基準が異なりますが、一人当たり年収100万円以下は生活保護基準を満たしています。しかし、生活保護の受給率は15% に過ぎません。この数字、スウェーデンやイギリスでは80%以上と言われ、日本では生活保護というセーフティーネットが十分機能していません。

二つ目の研究からグラフを2つ紹介します(図2、図3)。一つ目のグラフ から、イギリスが子どもの貧困をなくすために努力していること、スウェー デンにも苦労があること、そして日本では政策が機能していない可能性を、 読み取ることができます。図3に示した親の職業階層別乳児死亡率の推移から、すでに貧富の差がいのちの格差となっている事実を知ることができます。

いかがですか。子どもの貧困を日本の国からなくすことが、私の目標です。それは簡単ではないです が、しかし不可能ではないとの確信をもって、取り組んでいます。

研究者紹介

武内 一(社会福祉学部 社会福祉学科)

専門分野

小児科学

科学研究費採択

「脱貧困」戦略の構築 共生社会のグランドデザインプロジェクト 2014-2016/肺炎球菌ワクチン導入による菌株推移と高病原性歯発生リスクの解析 2014-2015/保育園入園1年間での上咽頭培養で分離されるインフルエンザ菌と肺炎球菌の保菌状況の変化 2011

最近の業績

  • 外来小児科学会と共に歩んだ歴史を振り返り、社会小児科学の新たな地平の開拓を願う/「日本小児科学会雑誌」122巻4号 2018年4月
  • 医療の現場における子どものQOLを考える/「生存科学」28巻1号2017年9月
  • Child Poverty Addressed in Medical Articles Written in Japanese* Available on Medical Databases/「佛教大学総合研究所共同研究成果報告論文集」5号2017年3月
  • 子どもへの貧困の影響/「佛教大学総合研究所共同研究成果報告論文集」5号2017年3月
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