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カリスマ的なリーダーに依存しない地域活性化のモデルとは?

名前 吉見 憲二(社会学部 現代社会学科)
科研費種別 若手研究B
研究課題 ブローカレス理論に基づいた地域活性化モデルに関する研究
研究期間 2015-2016

研究目的

少子高齢化や人口流出を背景に地域の持続的な発展及び活性化が要請されているが、従来の地域活性化・情報化の研究では、カリスマ的なリーダーシップ論の限界からその持続性・拡大性に関する課題が度々指摘されている。こうした背景より、カリスマ的なリーダーに依存せず、かつ、地域独自の取り組みのハードルを下げるような理論モデルとそれを前提とした演繹的な地域活性化・情報化が要請されている。

本研究では、その対象としてブローカーに過度に依存しないコミュニティ形成の手法である「ブローカレス理論」を用いた地域コミュニティブランド(以下、SCB)の活動に着目し、「理論」をベースにした地域活性化・情報化モデルの確立を目的とした。

研究内容

熊本県熊本市から発足したSCBは「ブローカレス、自己組織化、自律性(個の尊重)」 といったコンセプトから成るブローカレス理論を軸にした地域活性化の取り組みであり、その活動は短期間に県を越えて拡大している。本研究では、SCBの理論的支柱としての共通ルールである「地域コミュニティブランドの17ヶ条(表1)」が傘下のプロジェクトにおいてどのように受容されているかをフィールドワーク及び半構造化インタビュー等の手法を用いて調査した。対象として、SCBとして発足したプロジェクトのうち「nunotech(布テク)」(群馬県桐生市)、「宮崎県立小林秀峰高等学校」(宮崎県小林市)、「熊本競輪活性化ビジネスモデルコンテスト」(熊本県熊本市)、「ヴォルターズch」 (熊本県熊本市)、「SCB放送局」(熊本県熊本市)の5つを主に取り上げた。「nunotech (布テク)」は地域の伝統産業、「熊本競輪活性化ビジネスモデルコンテスト」は地域の 公営競技、「ヴォルターズch」は地域のスポーツチームをそれぞれ対象としており、他地域への応用が広く考えられるものであった。また、「宮崎県立小林秀峰高等学校」のプ ロジェクトは話題になった動画「ンダモシタン小林」の続編動画を地元の高校生が制作するといった取り組みであり、世間一般からの注目度も高かった。「SCB放送局」はSCB の手法により運営されている放送スタジオで、SCBのプロジェクトを含めたさまざまなアクティビティが実施されている。

現在まで浄土宗が続いているのは、法然が成し遂げた救いが800年間、人々を魅了し続けたからに他ならない。その意味で法然研究は重要であると言える。

研究結果

上記のような異なる特徴を有する5つのプロジェクトに対して、共通ルール全体の受容の程度はプロジェクトごとに温度差はあったが、「専門家集団・技術者集団を積極的 に活用」や「コミュニティ、共感、繋がりを可視化」といった項目については実際の活動に反映されている傾向が強かった。加えて、こうした共通ルールが存在することについては概ね肯定的な反応が見られた。

共通ルールの有効性は図1のように示すことができる。新規の取り組みについては、 自由度は高い一方で、活動運営は参照できるモデルがないため困難となる。逆に、模倣 は何らかのモデルを参照することから活動運営は比較的容易であるものの、自由度は低くなってしまう。ルールによるコミュニティ運営はその中間であり、一定程度の自由 度を維持しつつ、活動運営を容易にすることが期待できる。

私の研究は、超人でない、神格化されない、誇張でない、まさにこの世に生きた歴史的事実としての法然が、どう人々に救いをもたらせたのか、それを明らかにすることである。その事実こそ、私に救いをもたらし、この世の人々に救いをもたらせ、未来に救いをもたらせることになるという希望につながるからである。

共通ルールの有効性と併せて示されたのが、プラットフォームの効果である。SCBに おけるプラットフォームの定義は以下のようになされている。図2は従来型のコミュニ ティ運営であり、活動と課題が1対1で対応している。言い換えれば、新たな課題に対応するためには新しい活動が必要になる。ただし、新たに活動を立ち上げるための負担は大きい。他方で、SCBではさまざまな活動の共通部分がプラットフォームとして共通化されている図3のようなモデルが志向されている。これにより、活動の維持・運営が垂直型のものよりも容易となる。また、活動間の連携や協働もプラットフォームを通じてより 積極的に行うことが可能となる。図1における模倣とは異なり、元々の共通部分のみがプラットフォームとして共有されているため、活動自体の内容が制約されることはない。

また和讃や御詠歌といった、信仰を歌う文化現象にも興味がある。法然は専修念仏を提唱しているが、念仏以外に何も許さなかったのか、というとそうではない。周辺の人々が和讃や御詠歌を歌って信仰心を醸成させる様子が資料からみてとれる。念仏を称えやすくする行為として法然は和讃を重要視した。その意味は何か。文化現象からみた仏教を読み解く。

SCBにおける共通ルールはルール面でのプラットフォーム(=同様のルールを掲げる 活動の集積)と捉えることもできる。

「人」に依存しない、「理論」をベースにした地域活性化・情報化モデルの確立に関しては、「常に誰かが何か地域課題に対応した新しい取り組みを容易に創出できる状態」 が本研究の結論となる。SCBでは活動の共通部分のプラットフォーム化と「専門家集団・技術者集団を積極的に活用」に代表される共通ルールの存在によってそうした状態が達成されており、その背景にはブローカレス理論という理論モデルが存在してい る。理論モデルの優位性はカリスマ的リーダーと異なり、他の取り組みに一般化できる ところにある。ただし、本研究ではブローカレス理論を前提とした理論モデルのみを検討してきたが、それが唯一無二のものというわけではない。「継続する地域コミュニティ」へのアプローチは様々であるため、カリスマ的リーダーシップ論を超えた理論モデル間の競争が今後生じることが予想される。

研究者紹介

吉見 憲二(社会学部 現代社会学科)

専門分野

情報学基礎理論

科学研究費採択

研究助成 公益財団法人大川情報通信基金(分担)「公的主体の保有するビッグデータの利用促進のための法的検討と経済分析に関する調査研究」(平成26年12月~平成27年10月)/調査研究助成公益財団法人 KDDI 財団(分担)「地方自治体の有するビッグデータの」 利用促進」(平成27年4月~平成29年8月)/科学研究費助成事業(若手研究 B)文部科学省(代表)「ブローカレス理論に基づいた地域活性化モデルに関する研究」(平成27年4月~平成29年3月)

最近の業績

  • 自民党候補は「アベノミクス」の話題を避けたのかー2014年衆院選における候補者のTwitter投稿を対象とした報道の批判的検討一/「情報通信学会誌」34巻3号 2017年3月
  • 地域コミュニティブランドーブローカレス理論を用いた人的NWの形成一/日本情報 経営学会誌」36巻3号 2016年4月
  • 通勤困難な状況下でのテレワーク実施を可能とする要因に関する一考察/「情報通信 政策レビュー」12号 2016年3月
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