別科について
学長 佐藤 和順

行学双修
1年生の皆さん。佛教大学別科(仏教専修)への入学、おめでとうございます。浄山道場への入行を心から歓迎いたします。
本学別科では、2年間の全寮制で、幅広い年齢層の学生が共同生活をします。定められた時間割により、専門科目と関連科目を総合的に学修。加えて伝統的な「行学双修」の道場生活と総・大本山での法務実習を通じ、深く広く教養を培いながら浄土宗僧侶としての実践力を身につけます。
本道場清規には、「学と行にひたすら励み、現代の『僧伽(サンガ)』を実現し、精進に貫かれた生活に務めること。精進なき者は、この道場に居せず」と記されています。私的領域を大切にする現代においては、少し厳しく見えるかもしれません。ただ僧侶になるには覚悟が必要です。朝目覚めてから夜眠りに就くまで、すべてを仏道修行と捉え、「道場清規」を遵守し、敬上慈下の心で僧侶としての素養を身につけてください。仏教学と浄土学等の僧侶として必要な教養を身につけて、法然上人の正統を継ぐ浄土宗僧侶を目指してください。困ったこと、わからないことがある時は、遠慮せずに、先生や先輩に相談してください。僧伽の一員として皆さんを導いてくれることでしょう。
2年生の皆さんはすでに1年の学びを終え、後輩を迎える立場になりました。浄山道場の生活にも慣れてきたことと思います。この1年は、惰性で行動するのではなく、再度、その意味を考え、行動ください。これまで学んだことに自信をもち、先輩として手本を示してください。そこにさらなる成長があります。
浄山道場では、1977年の開設以来ずっと「行学双修」に注力し、成果をあげています。多くの修了生が、浄土宗の中央・地方組織で活躍しています。2年間で培った力は、即戦力となり、また年齢を重ね経験を積むほどにますます発揮されるものです。法然上人がそうであったように、人々に希望をもたらせることができる浄土宗僧侶となってくださることを祈念しています。
宗門後継者養成道場長 曽和 義宏

お念佛中心の生活を
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
2年生の皆さん、ご進級おめでとうございます。
別科は、行学双修の道場生活を通じて、浄土宗の僧侶を養成することを目的として開設されています。それも単に浄土宗僧侶の資格を取るだけではなく、別科を修了したその日から、押しも押されもせぬ浄土宗の僧侶、念佛者となってもらうことを目的としています。そのために、学(=知識)だけではなく、また行(=実践)だけでもない、行学双修の道場生活の毎日を送っていきます。
道場の生活ですので、規律ある行動と、和合、協調の精神が必要です。また講義や行事などに、積極的に取り組む姿勢も必要です。厳しい修行の毎日となりますが、お互い助け合いながら、自分自身を深く掘り下げ、磨き上げていただくことをお願いします。深く掘れば掘るほど、磨けば磨くほど、きっと大輪の素晴らしい華が開きます。
みなさんそれぞれの精進は、言うまでもなく一人ひとりが高い意識をもって弛まず取り組んでいただかなければなりませんが、その中でも絶対に欠いてはならないことがあります。それは一声でも多くお念佛を称えることです。どれだけ威儀作法が立派でも、どれほどの知識を持っていても、お念佛を称えない人は浄土宗の僧侶ではありません。お念佛中心の生活を送る中で、行と学とに精進していただくことを念願します。
「名号を聞くというとも、信ぜずば聞かざるがごとし。たとい、信ずというとも、称えずば信ぜざるがごとし。ただ常に念仏すべきなり。」
「一丈のほりを越えんと思わん人は、一丈五尺を越えんと励むべし。」
(法然上人「つねに仰せられける御詞」)
別科主任 齋藤 蒙光

「共生(ともいき)」の道場に
新入生のみなさん、佛教大学別科(仏教専修)へのご入学おめでとうございます。新しい生活に不安を感じておられる方もいるかもしれませんが、道場は「和わごう合(協力)」の精神を重んじる場所です。困ったことがあれば、遠慮せずに指導員や教員、上級生や同級生に相談するようにしてください。
新2年生のみなさんも、ご進級おめでとうございます。昨年度、真摯に学び成長する姿を見せてくださった皆さんですから、今年度もさらなる成長を期待しております。
大正・昭和期に仏教研究者や教育者として活躍した、浄土宗僧侶の椎しい尾お 弁べん匡きょう先生は、現代人に仏教や法然浄土教の精神を伝えやすくしようと考え、「共ともいき生」思想を提唱しました。「共に往生する」という法然上人の教えを換骨奪胎して、「共に生きる」生活規範を説いたのです。現代社会で「共きょうせい生」というと「他者と共に生きる」という話になりますが、椎尾先生の「共ともいき生」はそれだけではありません。自分という存在は、過去の無数の生命による行い(因)や巡り合わせ(縁)から生み出されたというのです。また同様に、自分が取り組むべき仕事や勉強も、無数の因と縁から生み出されたのだから尊いことだといいます。ですから、目の前のやるべきことに対して、いただきものである自分の肉体を喜んで動かし、また思考停止せず学ぶ心で取り組むなら、自分の「いのち」を活かすと共に、過去から未来へとつながっていく大きな「いのち」の営みに貢献することになると説きました。理屈として正しいのか判断のつかないところもありますが、前向きでスケールの大きい考え方だと思います。
皆さんが今、共に暮らし共に学ぶことになったのも、数知れない因・縁の結果であり、貴重で尊いことだと思います。自分の身と心とを活用し、また仲間と共に支え合うことで、さらに意味のある道場生活にしてください。