活動趣旨と研究体制・活動方針
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活動趣旨
本研究センターでは、浄土学を中心に、仏教学、人文科学、社会科学、自然科学にわたる広い視点から法然仏教学の総合的な研究を行い、もって文化の発展に寄与することを目的とします。
元来、佛教大学は浄土宗僧侶の養成を目的とした学問所が設立の原点であります。したがって、本学の教育組織の展開は、仏教に基づく有為な人材の養成を基盤としています。また、浄土宗の開祖、法然上人の思想を離れて本学の社会的存在意義を語ることもできません。
加えて、法然上人の思想は、日本仏教の単なる一宗派の枠に到底収まるはずもない思想史上の偉観を有するものであり、世界に発信すべき優れた内容を具えています。ところがこの思想は、そのような重要性を有するにもかかわらず、他の諸宗の祖師に比べて実像解明に関する研究が十分には進んでおりません。
その原因の一端は、法然上人の自筆文献の希少性によるものでありますが、弟子の伝承する文献や、写本・版本さえ、その動向が不明瞭なものも多くみられ、基礎研究としての文献研究において重要な役割を果たすテキストそのものが、未だ「ままならない」状況においては、法然上人の実像解明は極めて困難であると言わなければなりません。
また、法然上人をめぐる思想家や浄土教思想研究に従事する研究者は世界中に存在しますが、彼らがどのような成果を挙げ、どのように研究を進めているのかを把握し、関連する情報を発信することも、法然研究を志す学徒にとってきわめて有意義なものとなります。
散逸する文献の収集、現存の写本・版本や弟子の伝承からの、原本もしくはそれに近い法然文献の比定、定本の確定、それらの解読作業という基礎研究と、それに立脚した確固たる法然思想と歴史的事実の解明、法然上人周辺の思想家の研究と関連する歴史の解明、ならびに浄土宗の歴史解明を進め、それらを広く社会に発信していくことを本センターの基本的な目的とします。
研究体制・活動方針
本センターでは、設置目的にそって総合的多角的に法然仏教の研究を行っていきますが、基本的に三つの部門を組織し、その下で基礎研究を行う体制をとります。
第一部門 法然仏教の基礎研究と教義解明
第二部門 浄土宗の思想的伝統および周辺宗教者の研究
第三部門 浄土宗における僧侶養成、教育・教化の研究
これらの部門にそれぞれ班を設け、班ごとに基礎研究を進めます。
部門名 | 班 | 研究内容 | 構成員 |
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第一部門 | 法然文献班 | 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対照本作成 | 本庄良文、伊藤真宏、市川定敬 齋藤蒙光、下端啓介、大久保慶子 |
『逆修説法』班 | 『逆修説法』諸本対照本作成、古本『漢語燈録』を中心とする本文批判 | 眞柄和人、吉原寛樹、岩谷隆法 齋藤蒙光、一ノ瀬和夫 |
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『選択集』諸本研究班 | 信重院蔵『選択集』諸本等の調査および研究 | 兼岩和広、伊藤真宏、服部純啓、小川法道 下端啓介、春本龍彬、明石寛成、高城聡宏 |
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第二部門 | 『摧邪輪』班 | 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳 | 米澤実江子、中御門敬教、服部純啓 |
『徹選択集』研究班 | 『徹選択本願念仏集』の注釈類の翻刻・現代語訳 | 上野忠昭 | |
『往生要集鈔』関係班 | 『往生要集鈔』『往生要集義記』諸本対照・訓読・現代語訳 | 本庄良文、南宏信、伊藤晃希 | |
中国関係班 | 『往生西方浄土瑞応刪伝』解読・現代語訳・文献批判 | 齊藤隆信、曽和義宏、加藤弘孝 永田真隆、小川法道 |
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黒谷金戒光明寺 『日鑑』研究班 |
黒谷金戒光明寺所蔵『日鑑』の調査・翻刻・研究 | 坪井剛、田中実マルコス、青木篤史、横田友教 | |
第三部門 | 伝宗伝戒班 | 『真葛伝語』諸本蒐集および教理的根拠の探索 | 眞柄和人、武田真享 |
聖冏『顕浄土伝戒論』、全長『顕浄土伝戒論私記』 | 武田真享 | ||
聖冏撰『決疑鈔直牒』身延本の研究 | 南宏信 |
各班の基礎作業は原則公開とし、特に大学院生の積極的参加を求めます。また月1回程度の研究発表会を催し、研究員の研究発表と、これら研究班の進捗状況確認ならびにディスカッションを行い、こちらも公開します。
また、年に2回程度、外部講師を招いて研究会を開催します。歴史学、国文学、美術史、思想史等関連隣接分野の専門家を招請し、各班の問題点や個々の研究課題について解決を求めていきます。
必要な文献の調査、収集を常に行い、入手困難な場合は写真撮影などの画像データによる保存を進めます。
これらの作業には大学院生の参加を促し、基礎研究や資料収集などの作業を通じて、研究者としての基盤を培うなど、後進の育成についても責任をもって取り組んでいきます。