第5回 全体研究会(法然仏教の多角的研究) 開催報告
日 時:2025(令和7)年1月24日(金)16:30~18:00
開催形式:オンライン(Zoom)
参加者 :13名
概要
<研究発表>
発表者:小川 法道(嘱託研究員)
テーマ:道綽『安楽集』における浄影寺慧遠の影響
道綽禅師(562-645)の『安楽集』は、浄影寺慧遠(523-592)の『観経義疏』を批判したことで有名である。特に仏身仏土の理解をめぐって、道綽は慧遠が阿弥陀仏と極楽浄土を応身応土とする主張を批判し、報身報土論を展開していることは周知の通りである。その後、中国では、慧遠の『観経義疏』は注目されることになるが、『大経義疏』に関しては、あまり注目されないでいる。
批判とは反対に、道綽は慧遠の影響を受けていると言われている。そこで道綽がどこからどこまで慧遠の影響を受けた箇所であるかを、共通性という点から体系的にまとめた。そしてその共通点は、『大経義疏』から二箇所、『観経義疏』から三箇所、確認でき、道綽が著者の名前を出さずに慧遠の『大経義疏』を引用することから、隋唐時代においても、慧遠の『大経義疏』が流通していたことを明らかにした。
<各班進捗状況発表>
【第一部門】 法然文献班 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対照本作成
10月の打合せ内容に沿って、各自作業中。
【第一部門】 逆修説法班 『逆修説法』諸本対照本作成、古本『漢語燈録』を中心とする本文批判
親鸞『浄土三経往生文類』(広本)の輪読中。次回は3月4日13:00~研究会開催予定。
【第一部門】 『選択集』諸本研究班 信重院蔵『選択集』諸本等の調査および研究
各自、対象作業中。他大学図書館調査の準備中。
【第二部門】 『摧邪輪』班 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳・註
『紀要』第11号掲載原稿校正。
【第二部門】 『徹選択集』研究班 『徹選択本願念仏集』の注釈類の翻刻・現代語訳
『徹選択集』下巻最初の1/3を『紀要』第11号に報告、校正。
【第二部門】『往生要集鈔』関係班 『往生要集鈔』『往生要集義記』諸本対照・訓読・現代語訳
次年度の活動の計画を作成中。
【第二部門】 中国関係班『往生西方浄土瑞応刪伝』訳注
第 42 隋州約山村翁婆二人まで終了。次回は1月28日10:40~研究会開催予定。
【第二部門】黒谷金戒光明寺『日鑑』研究班 黒谷金戒光明寺所蔵『日鑑』の調査・翻刻・研究
11月以降5回の研究会を開催し、翻刻作成中。次回は1月31日研究会開催予定。
【第三部門】 伝宗伝戒班
聖聡『小経直談要註記』(京大本)の翻刻、現代語訳。次回は2月17日15:00~研究会開催予定。
以上