第4回 全体研究会(法然仏教の多角的研究) 開催報告
日 時:2024(令和)年10月25日(金)16:30~18:00
開催形式:オンライン(Zoom)
参加者 :15名
概要
<研究発表>
発表者:崔 鵬偉(嘱託研究員)
テーマ:『心性罪福因縁集』をめぐる諸問題
『心性罪福因縁集』は中国の禅僧永明延寿(904〜975)に仮託され、平安後期頃、日本で成立した仏教説話集である。永観(1033~1111)『往生拾因』第九因のほか、伝源信(942~1017)『菩提集』や『今昔物語集』天竺部などに受容されていることから、平安後期の浄土思想や、天台本覚思想、また説話文学の研究において注目されてきた。しかし、『心性罪福因縁集』に取り組んだ本格的な研究はなく、その成書環境や思想内容については、未だ解明できていないところが多い。
本発表では、まず諸経録にみる『心性罪福因縁集』の記載、および現存伝本の系統を検証しつつ、現在の研究状況や課題を紹介した。ついで、中巻第八・十・十三話を具体例として、これらの話はどのような資料に基づき、どのように作られたのかについて考察した。特に日中文化交流の視座から、『心性罪福因縁集』における五代から北宋にかけての仏書や信仰の受容の一端を浮かび上がらせた。
<各班進捗状況発表>
【第一部門】 法然文献班 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対照本作成
10月10日に打ち合わせ会が開かれ、今後の方針が決定された。
【第一部門】 逆修説法班 『逆修説法』諸本対照本作成、古本『漢語燈録』を中心とする本文批判
10月24日に研究会開催。親鸞『三部経往生文類』を読んでいくこととなった。
【第一部門】 『選択集』諸本研究班 信重院蔵『選択集』諸本等の調査および研究
各自『選択集』諸本の比較表作成中。調査準備中。
【第二部門】 『摧邪輪』班 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳・註
『紀要』第11号掲載原稿作成。
【第二部門】 『徹選択集』研究班 『徹選択本願念仏集』の注釈類の翻刻・現代語訳
『紀要』第11号原稿提出。
【第二部門】『往生要集鈔』関係班 『往生要集鈔』『往生要集義記』諸本対照・訓読・現代語訳
宗教文化ミュージアム「特別展」の図録原稿提出。『往生要集義記』に関する出版準備中。
【第二部門】 中国関係班『往生西方浄土瑞応刪伝』訳注
9月27日、10月22日研究会開催。11月12日研究会開催予定。
【第二部門】黒谷金戒光明寺『日鑑』研究班 黒谷金戒光明寺所蔵『日鑑』の調査・翻刻・研究
10月11日研究会開催。宗教文化ミュージアム「特別展」の図録原稿提出。
【第三部門】 伝宗伝戒班
10月28日 14:00~ 研究会開催予定。
以上