第3回研究会開催報告(法然仏教の多角的研究)
日 時:2023年6月23日(金)16:30~17:40
開催形式:オンライン開催(Zoom)
参加者 :20名
概 要
<研究発表>
発表者:伊藤晃希(学術研究員)
テーマ:霊空『旁観記』に見る法然観とその変化
『一枚起請文』の註釈書を通して「一大念仏論争」の起源についての考察を発表した。「一大念仏論争」とは近世に天台宗の霊空が浄土宗の念仏を批判したことによって起こった論争である。この論争の起源は従来、「元禄の安楽騒動」という天台宗内でなされた論争であるとされてきた。しかし先行研究から「一大念仏論争」での霊空の主張にはこれまでの霊空には見られなかった「法然批判」がなされていることが分かった。したがって天台宗同士の論争である「元禄の安楽騒動」が起源では、「法然批判」がなされ始めたことの説明がつかない。よって本稿では「元禄の安楽騒動」と「一大念仏論争」の間に起こった霊空と浄土宗の論争である「一枚起請文論争」に着目し「一大念仏論争」の起源を考察した。
<各班進捗状況発表>
【第一部門】 法然文献班 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対照本作成
先月同様に協力者を募り推進環境を整えている。
【第一部門】 逆修説法班 『逆修説法』諸本対照本作成、古本『漢語燈録』を中心とする本文批判
『逆修説法』諸本比較作業。既出版本修正の検討。
【第一部門】 『選択集』諸本研究班 信重院蔵『選択集』諸本等の調査および研究
各自、比較表作成中。
【第二部門】 『摧邪輪』班 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳
「巻下」訓・註・現代語訳。『紀要』掲載準備。
【第二部門】 『徹選択集』研究班 『徹選択本願念仏集』の注釈類の翻刻・現代語訳
『紀要』掲載準備。妙瑞『徹選択集私志記』の注釈を参考にしながら作業を進める。
【第二部門】『往生要集鈔』関係班 『往生要集鈔』『往生要集義記』諸本対照・訓読・現代語訳
研究会開催に向けて準備中。本庄先生より、昨年11月開催の鎌倉光明寺記主禅師研究所での『往生要集義記』に関する発表の講演記録校正中。
記主禅師研究所の紀要に掲載予定。
【第二部門】 中国関係班『瑞応伝』
『安楽集』出版準備中。
【第二部門】 黒谷金戒光明寺『日鑑』研究班 黒谷金戒光明寺所蔵『日鑑』の調査・翻訳・研究
各自翻刻作業中。
【第三部門】 伝宗伝戒班 『真葛傳語』諸本蒐本および教理的根拠の探索
佛大蔵『五重十三箇傳』の読み会を開催。
以上