第4回研究会開催報告(法然仏教の多角的研究)
日 時:2022年11月25日(金)16:30~18:20
開催形式:オンライン開催(Zoom)
参加者:13名
概 要
<研究発表>
発表者:上野忠昭(嘱託研究員)
テーマ:聖光の見仏観
三昧発得は、それを目的として口称念仏を修するという法然のことばは残っておらず、不求自得の果報と位置づけたとされる。それに比して、浄土宗鎮西流二祖聖光の著述には、口称念仏は見仏を目的とするという文言が確かに散見する。『徹選択本願念仏集』下の冒頭には、念仏三昧は不離仏・値遇仏を意味するとある。仏に値うとは仏に見(まみ)えることであり、『大智度論』の文を引いて、仏に値うことの無量の利益を説き、どうして仏に見(まみ)えることを求めないでいようかと勧める。また、口称念仏の目的は見仏であると明言する。同じく聖光述『浄土宗要集(西宗要)』においても同様の主張が、「第四専雑二修得失事」、「第十八般舟経自説往生事」「第四十九別時念仏事」「第五十八念仏三昧発得事」「第七十三念仏有五種増上縁事」に見られることを紹介した。続いて、『無量寿経』下およびその異訳に説かれる三輩と見仏の関係、善導『観経疏』に説かれる三縁と見仏の関係について触れ、最後に見仏と欣慕の関係について述べた。
<各班進捗状況発表>
【第一部門】 法然文献班 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対照本作成
前回の報告同様これまでのリーダー不在のため新たな体制の思索中。
【第一部門】 逆修説法班 『逆修説法』諸本対照本作成、古本『漢語燈録』を中心とする本文批判
10月11月と研究会を行い、出版に向け原稿と昨印の見直し作業中。索引はなし。
【第二部門】 『摧邪輪』班 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳
巻中について『法然仏教学研究センター紀要』第9号掲載原稿作成作業中。現代語訳の再確認。巻下の引用確認。
【第二部門】 『徹選択集』研究班 『徹選択本願念仏集』の注釈類の翻刻・現代語訳
巻上前半の訓読・現代語訳作業。『法然仏教学研究センター紀要』第9号に投稿。巻上後半の訳注準備。
【第二部門】『往生要集鈔』関係班 『往生要集鈔』『往生要集義記』諸本対照・訓読・現代語訳
11月21日に大本山光明寺記主禅師研究所にて「良忠述『往生要集義記』(原題『往生要集鈔』)現代語訳作業の経緯と展望」の講義を行った。
【第二部門】 中国関係班『瑞応伝』
道喩伝まで読了
【第二部門】 黒谷金戒光明寺『日鑑』研究班 黒谷金戒光明寺所蔵『日鑑』の調査・翻訳・研究
1ヶ月分の翻刻修了。11月21~24日で23冊分の撮影終了。
【第三部門】 伝宗伝戒班 『真葛傳語』諸本蒐本および教理的根拠の探索
新たな課題策定のため各個に研究中。12月12日に研究会を行い今後のテーマを決定する予定。
以上