第2回研究会開催報告(法然仏教の多角的研究)
日 時:2022年5月30日(月)14:30~16:00
開催形式:オンライン開催(Zoom)
参加者 :17名
概 要
<研究発表>
発表者:小川法道(嘱託研究員)
テーマ:善導における還相廻向の思想
還相廻向の思想は、曇鸞に関しては多分に論じられているが、善導に関してはその限りではない。そこで五部九巻を精査した所、善導は還相廻向について、『往生礼讃』『観経疏』『法事讃』の著作の中で言及している。まず『往生礼讃』では還相廻向の思想を説くときに、「六神通」の語を用いている。これは三十巻『仏名経』の影響を受けたものである。次に『観経疏』では「大悲」の語を使用している。これは曇鸞『往生論註』ならびに世親『往生論』の影響を受けたものである。この二つの見解が出たことによって、その解釈の相違をめぐって、善導研究の中で問題となっている著作の前後について筆者の見解を述べている。最後になぜこのような相違が生じたのかについて、善導は『大智度論』の記述から「六神通」(『往生礼讃』)では不適切であると考え、「大悲」(『観経疏』)に表現を変更したと推測している。
<各班進捗状況発表>
【第一部門】法然文献班 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対照本作成
発表者名:本庄良文
報告:研究会再開に向けて資料の点検整理中。
【第一部門】法然文献班 『徹選択集』現代語訳
発表者名:上野忠昭
報告:「上巻」の現代語訳作業。
【第一部門】逆修説法班 『逆修説法』『逆修説法班』諸本対象本作成、古本『漢語燈録』
発表者名:岩谷隆法
報告:出版に向けて、初校の見直しと索引作成中。
【第一部門】『選択集』諸本研究班 信重院蔵『選択集』諸本等の調査および研究
発表者名:下端啓介
報告:班員各個に分担して、一行ごとの対照表を作成中。
【第二部門】『摧邪輪』班 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳
発表者名:米澤実江子
報告:「巻中」の現代語訳再確認と、「巻下」の訓・註・現代語訳作業。
【第二部門】『往生要集鈔』関係班
発表者名:南宏信
報告:現状を維持しつつ、鋭意努力中。
【第二部門】中国関係班『瑞応伝』
発表者名:小川法道
報告:作業方針を確認し、序文、慧遠伝、曇鸞伝の訳に着手。
【第二部門】黒谷金戒光明寺『日鑑』研究班
発表者名:横田友教
報告:安永5〜6年の日鑑翻刻作業。
【第三部門】伝宗伝戒班 『真葛伝語』
発表者名:真柄和人
報告:班員各自の課題を研究しながら、共通の研究題目を模索中。
以上