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株式会社トマトコーポレーション代表取締役 岡本 誠司さん

(文学部仏教学科1986年卒業)

目の前のことにベスト尽くせ

「100円カニ缶」が大ヒット

 食品貿易会社「トマトコーポレーション」(大阪市)を1998年に創業し、2003年に発売した「100円カニ缶」の大ヒットをきっかけに躍進した。「あの商品がなければ、今の私はありませんでしたね」と岡本誠司さんは振り返る。カニ缶の誕生秘話など、エピソードが詰まった著書が今年秋に出版される予定だ。
 創業から約5年は売り上げが低迷し、従業員は自分1人だけだった。そんなある日、得意先の社長が「今、こんなん売れてるねん」と、タイ産のカニ缶を一つくれた。その後、営業先の100円ショップの店長から「缶詰はよく売れていますが、100円のカニ缶はまだないんですよ」と聞く。二つの話が結びついた。
 「サイズを半分にして100円にできればヒットする。そう確信し、すぐにタイの領事館でカニ缶工場のリストをもらい、タイに飛んで10社ほど回りました。最後の会社でやっと商談がまとまりました」。
 24個入り500ケースはすぐに完売。追加発注した3000ケースも3日で売れた。新聞やテレビでも取り上げられ大ヒット。全国に得意先を開拓し、会社の礎を築いた。
 岡本さんは意外にも「夢を持つな」と言う。ただ、その後に「目の前のことにベストを尽くせ」と続く。そうやってこれまで生きてきた。「夢を持ってもできっこない。人には限界があります。ただ、一旗揚げたいという想いはありました。それで、挫折があったり、いろんな人に教えてもらったりして、今に至る。目の前のことにベストを尽くせば、結果はついてきます」と話す。

野球に打ち込んだ大学時代

 佛教大学の4年間は硬式野球部の活動に打ち込んだ。競争意識が激しいあまりチームはギスギスすることもあったが、「それだけ真剣だったんです。負けた時の悔しさ、失敗した経験、勝った喜びは、一つのことに真剣に取り組むからこそ得られます。そうして人間は成長します」と話す。
 卒業論文の担当教授、久下陞(くげ のぼる)先生との出会いも大きかった。「久下大学を出ましたというくらいで、人生の師です。本当にいろいろ教わりました」。鮮明に覚えているのが、「君のように、自分の考えを持って相談に来るのが、本当の相談だよ」と言われたこと。今も、社員教育に生かしている。

「まずはやってみる」と挑戦してほしい

 「学生時代はコンビニ、ラーメン店、お中元の配送、引っ越し、餅屋、警備会社...、さまざまなアルバイトを経験しました。何でもやってみないと分からないでしょ。まずはやってみる。失敗しても、挫折してもいいんです。いろんな経験を積んでもらいたいですね。そして、できれば海外に一人旅にも出てほしい。多文化に触れることで得られることも大きいはずです。私は学生時代の経験が、今の仕事につながっていますから」と後輩へメッセージを送る。
 カニ缶をはじめ、驚きや感動を与える商品を提供し続け、会社を大きく成長させた岡本さんだが、自身を成功者だとは思っていないという。「常に努力することだけ考え、気がついたらこうなった、というのがベスト」。その人生にゴールはなく、高みを目指し続けるのだろう。

岡本 誠司(おかもと せいじ) 1964年大阪市生まれ。86年に佛教大学文学部仏教学科を卒業後、工具メーカーに7年半勤める。起業を志して退職し、「これからは中国」と94年から2年間、中国に留学。帰国後、翻訳会社や貿易会社での勤務を経て、98年1月に株式会社トマトコーポレーションを設立した。100円カニ缶の大ヒット後、100円のオイスターソースやオイルサーディン、アンチョビなどヒット商品を次々と生み出している。

日本赤十字社より金色有功章を受章

(2021.7)

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