パラ競技の楽しさを追求 自ら選んだ道はあきらめない
学部 | 教育学部 |
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学科 | 臨床心理学科 |
学年 | 3年生 |
氏名 | 藤原 芽花さん |
スポーツ大好き少女が、車いすハンドボールでも大活躍
巧みな車いす操作でパスやシュートを繰り出す。その迫力とスピード感に歓声と拍手が上がる。5月20日、紫野キャンパス鷹陵館のメインホールに、国内屈指の車いすハンドボールプレーヤーが集結。ハンドボール部所属、車いすハンドボール日本代表選手でもある藤原芽花さんもその中にいた。一般社団法人Knocku※が主催する「車いすハンドボール体験&観戦会in佛教大学」は、藤原さんの提案から実現したものだ。「私は橋渡しをしたにすぎません。大学に相談したらとんとん拍子で開催の運びに。イベント当日も、不要な椅子が片づけられていたり、更衣室を広く用意してくださったり、全面的なサポートに感謝と誇らしい気持ちでいっぱいです」
藤原さんは小学、中学でサッカー、高校ではハンドボールに打ち込み、華麗なる戦績を残している。しかし大学ハンドボール部の練習中に転倒して椎間板ヘルニアを再発。手術成功後はリハビリに励んでいたが、本人の意思に関係なく手足が動く不随意運動という別の症状が現れ、転院や検査を経て、車いす生活が始まったという。「今も発症の原因は不明です。当初は、いずれ歩けるようになると思っていたくらい」と屈託のない笑顔で話す。
パラアイスホッケーの国際競技大会で交流の輪が広がった
「退院したら何かスポーツをやりたい。じゃあ車いす競技かな」と、初参加した車いすハンドボールの体験会が楽しくて、その縁でパラアイスホッケーを紹介され、車いすバスケットボールのおもろしさにもハマり、全部続けることに。特に2022年4月から始めたパラアイスホッケーは、8月の「Para Ice Hockey Women's World Challenge」でワールドチームの副キャプテンとして銅メダル獲得に貢献。圧巻の身体能力と求心力である。その活躍が評価され、大学スポーツ協会(UNIVAS)の「パラアスリート・オブ・ザ・イヤー」優秀賞や、「京都府スポーツ賞」優秀賞を受賞。「大きな出来事を通して、世界の人たちとつながり輪が広がっていることが私にとって財産です」。先日はノルウェーの友人が京都に遊びに来たとうれしそうに話す。
パラアスリートとしてだけでなく、臨床心理士の道も叶えたいと前を向く。もともと「心にどこか違和感をもつ人の居場所をつくりたい」と考え、臨床心理学を学ぶために佛教大学に入学した。小学生のとき、男子サッカーチームの中で女子はひとりだけ。「グレーゾーン」な存在として複雑な思いを抱いたのが原点だ。「先生が『うちの学科は教育の育、"育む"ほうです。曖昧で答えのない学問だからこそ一緒に探究しましょう』と話してくれたのが印象に残っています」。車いす生活になり心境の変化は?と尋ねると、「よく聞かれる質問ですが、今たまたま車いすにのっているだけで、20歳までの藤原芽花も、21歳以降の藤原芽花もおんなじ。気持ちは何も変わらないのがうれしくて。これからも楽しいことをたくさん経験したいし、自らやりたいと選んだことはすべて成し遂げたいです」
- ※2020年11月発足。障害のある人もない人もともに参加できるパラスポーツのイベントやコミュニティ、パラスポーツを通じて「共生社会」を理解するための教育プログラムを運営。

(2024.1)