佛教大学FASTと地域消防団、防災活動を通して継続する力の大切さ学ぶ
学部 | 大学院 |
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学科 | 社会学研究科 社会学専攻修士課程 |
学年 | 2年生 |
氏名 | 大木 倫太郎さん |
防災サークル参加をきっかけに、地域の消防団にも入団
「新しい発見や学びがあります」。佛教大学生活6年目のいまもそう感じられる充足感があるという大木倫太郎さん。入学当初こそ、高校までの授業スタイルや試験内容の違いに戸惑いがあったものの、徐々に学問の楽しさに気づき、もっと追究したいとの思いで大学院に進学した。
現在、日々の活動の中心となっていることのひとつに、佛教大学FAST及び消防団がある。FASTとは〝Fire And Safety Team〞の略。2014年、京都府公認の学生消防防災サークルネットワーク「京都学生FAST」が発足する。地域の消防団の若手団員が不足するなか、将来の地域防災人材として大学生を育成することを目的したもので、佛教大学FASTも同時に立ち上げられた(現在13大学が参加)。「入学後に偶然再会した幼なじみに誘われて。何かサークルに入るつもりだったし、友だちもできるかなと軽い気持ちでした」。楽只学区の消防団の防犯パトロールに参加し、1年生秋に消防団にも入団。いつ起きるかわからない災害時に備える防災・減災のためのノウハウ、幅広い年齢の消防団員の方々との交流などの知識や経験が得られることが魅力だった。「ただ、当時佛教大学FASTは50人くらい在籍していたのですが、自由参加なこともあり、月1回の定例会議に出席するのは2割以下。私もその一人で、消防団としての防犯パトロール活動に重点を置いていました」
納得・理解できるまで、学びの姿勢は持ち続けたい
意識変革のきっかけは、当時の代表から実動人数の少なさの相談を受けたこと。参加を募るサポートをするうちに、将来的な活動継続の危機感と使命感に駆られ、代表を引き継ぐことに。4月の紫櫻祭で2年連続紹介ブースを設置し、新入生へ広報活動をした結果、「昨年と今年で新メンバーが約15名増えました」。コロナ禍で活動範囲は大幅に縮小したが、5月に今年初の対面式定例会議と併せて、災害備蓄品見学や防犯パトロールが実現した。
昨年9月には、構想から完成まで約半年かけて、田中手帳が発行する、一般的な会話によるコミュニケーションが難しい方のための「防災用・救助用コミュニケーションブック」の防災監修を行った。「文章、絵記号やイラストなどわかりやすい表現を心がけ、使う側の視点に立って具体的な数で備蓄品を示すなど、メンバー同士で意見を出し合いました。水に濡れても文字が書けるよう工夫がされています」。冊子は京都府庁や京都学生FASTに共有、楽只消防分団を通じて高齢者施設などにも配布された。
学業の総仕上げも本格化。大学4年生時にコロナ禍となり、不完全燃焼を解消すべく不退転の決意で大学院進学を決めた。研究テーマは「グローバル資本主義と日本の森林|森林保全の歴史と課題|」。佛教大学、三共精機、南丹市等が連携して実施するモデルフォレスト運動の取り組みを主軸にする予定だが、切望するフィールドワークが未だ叶わない。それでも、「なんとか納得のいく研究成果を出せたら」と前向きな姿勢を貫く。「将来は地域社会の役に立つ仕事に就きたいです。社会人になっても発見と学びを重ねていきたいし、その気持ちは大切に持ち続けたいですね。物事を深掘りし、自分なりに理解したうえでの言動には説得力が生まれると思っています」

(2022.7)