ともに学ぶ仲間との交流を楽しみながら 法然上人の生き方を探求
学部 | 通信教育課程 仏教学部 |
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学科 | 仏教学科 浄土・仏教コース |
学年 | 4年生 |
氏名 | 高橋 孝一 さん |
仏教について、命について深く学んでみたい
「仏教の源流に触れてみたいという思いから、インドやシルクロードの国々を巡ったことがありました」。興味が深い学びへと転換していった転機は東日本大震災だった。人の命や人生についてもっと深く考え、仏教について学び進めたいと思い、佛教大学通信教育課程の門をくぐった。
「私にとって佛教大学での学びは生涯学習であり、ほかの言葉で表現すると趣味でしょうか」と高橋孝一さんは話す。そんな趣味に彩りを添えてくれるのが、通信教育で学ぶ全国の学生たちをつなぐ学生組織「学友会」の存在だという。「学友会の仲間と情報を共有しながら学ぶのは楽しい」。今では周りからの信頼も得て、会長を務める身だ。
「三学非器」に至った法然上人の思いに近づく
現在、卒論を執筆中。テーマは法然上人の言葉「三学非器」だ。上人は長年俗世を離れて修行を積んだ末に「私など、仏道の大切な三つの学び(三学)である戒定慧を身につけられるような器ではない(非器)」と気づいたという。
「法然上人が『三学非器』であると思い至ったことは、その後の上人の生き方の重大なターニングポイントだったといえます。では、この発見は挫折なのか、一つの悟りなのか。また、その気づきのきっかけは何だったのか。自分なりに深く考えてみたいと思い、卒業論文を書き始めました」。先行研究や文献を集めて考察を進めているが、研究すればするほど、「法然上人への親しみと尊敬の念が高まっていきます」と語る。すでに卒業に必要な単位数を満たし、あとは卒業論文を仕上げるのみ。しかし、「大学で学びたいことはまだまだある」と、2019年秋に再入学した。「興味のある科目をもっと受講し、人との交流を深め、自分の心や知識を豊かにしたい」と意欲を見せた。
心のケアが行える宗教者をめざして
モットーは「どなたにも尊敬の思いを持ち、誰かの役に立つ人間になる努力をおこたらないこと」。定年後は恩返しの活動をしたいと思い、「臨床宗教師」になるための勉強も始めた。「臨床宗教師は宗教や所属宗派の枠を超え、さまざまな場で心のケアを行う宗教者に与えられる認定資格。震災や病気で亡くなる人もいれば、残された人々もいる。一人ひとりに寄り添い、悲しみや喜びを分かち合えるよう、私にできることを増やしていきたいと資格取得を目指しています」
最後に、通信教育で学ぶ学友の皆さんに向けてメッセージを送る。「コロナ禍以前は、各地に相談・交流の場を設けていましたが、現在は直接に会って話す機会がなく、私は皆さんに、ただ『がんばって』としか言えません。でも、何かきっかけが見つかれば、もうちょっと先に進もうと思えるではありませんか。学友会活動がそのきっかけの一つになれれば幸いです。一緒に頑張っていきましょう」。今回はオンラインで宮城と京都をつないだ取材。
パソコンの画面から、温かみが伝わってきた。

(2020.12)