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第六回研究会開催報告(法然仏教の多角的研究)

2019.12.16

日時:20191216日(月)12501420

会場:紫野キャンパス 15号館3階 第6会議室

概 要

<研究発表>

発表者:下端啓介(学術研究員)

テーマ:「科文からみる法然『往生要集釈』の構造」

法然上人(一一三三―一二一二、以下、全ての尊称略)の著書である『往生要集釈』は、源信(九四二―一○一七)の『往生要集』を註釈した四釈書の一つである。これまでなされてきた多くの研究では、四釈書が法然の思想変遷の中どの段階に位置付けられるか、或は四釈書がどのような順序で成立したかといったことに主眼が置かれてきた。『往生要集釈』には『往生要集』の科文分けを説く「合」、「広」の解釈が説かれているが、先行研究ではこれらについて具体的に論じられていないため、今回、このような科文を中心として検討した。本検討は現存の資料によって『往生要集釈』を理解し得る一つの道すじを提示することにより、四釈書研究の一助になるものと考える。

「合」の解釈とは、『往生要集』十門を念仏と諸行との対比でまとめ直して五門の科文とするものであり、「広」の解釈は、基本的には『往生要集』の科文をそのまま述べたものであるが、全く同じというわけではなく、法然の意図が表れた説示である。

検討の結果、『往生要集釈』において「合」・「広」・「略」・「要」の解釈は次のような関連性をもって説かれていることがわかった。まず①「合」の解釈として、要行である念仏についての章が大文第四正修念仏から第八念仏証拠までであることを定める。次いで②「広」の解釈として、「要」の解釈で説く項目を提示するとともに、「略」の解釈を成立させるための科文を説く。次いで③「略」の解釈として、一見すると『往生要集』全体についての要行を説くかのように見える「惣結要行」という項目について、念仏を説く範囲(「合」の解釈)や「惣結諸業」と対比させないこと(「広」の解釈)により、『往生要集』の正意ではないことを説く。最後に④「要」の解釈として、『往生要集』が念仏の一行だけを勧めるということを示す。このように、『往生要集釈』は、「合」・「広」・「略」・「要」の解釈の有機的な連携によって、『往生要集』が念仏だけを勧進するということを示しているのである。

また「惣結要行B釈」について従来は後世の加筆との指摘がなされてきたが、本検討により「広」の解釈との関連性が示された。これにより、「惣結要行B釈」を含めた『往生要集釈』の意義付けがなされるべきである。

<各班進捗状況発表>

【第一部門】法然文献班 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対象本作成

前回から4回の研究会を開催。善先生訳の見直し作業が終わり、善先生にチェック依頼中。安達先生訳を終了して、現在、角野先生訳を検討作業中と報告。

【第一部門】法然文献班 桑門秀我『選択本願念仏集講義』現代語訳

出版にかかる再校を返送したこと、三校待ちであることを報告。

【第一部門】『逆修説法班』 『逆修説法班』諸本対象本作成、古本『看護燈録』を中心とする本文批判

五七日の3分の1までの二度目のチェックに取り掛かり中と報告。

【第一部門】『選択集』諸本研究班 信重院蔵『選択集』諸本等の調査および研究

前回から3回の研究会を開催。『選択集』諸本データの印刷作業、諸本分類作業、第一章の読み合わせと校異作業を報告。

【第二部門】『摧邪輪』班 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳

11月末段階で16丁表10行まで終了していると報告。

【第二部門】『往生要集抄』関係班 『往生要集抄』『往生要集抄義記』諸本対照・訓読・現代語訳

現状を維持しつつ牛歩の歩みではあるが進めている、と報告。

【第二部門】中国関係班 道綽『安楽集』解読・現代語訳・文献批判

前回から1回の研究会を開催。第九大門中~故更不退転まで読み終えたと報告。

【第三部門】伝宗伝戒班『真葛伝語』諸本蒐集および教理的根拠の探索

出版にかかる再校を返送したところ、と報告。三校待ち。

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