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第四回研究会開催報告(法然仏教の多角的研究)

2019.10.7
日時:2019年10月7日(月)12:50~14:20
会場:紫野キャンパス 15号館3階 第6会議室

概 要
<研究発表>
発表者:一ノ瀬和夫(学術研究員)
テーマ:法然浄土思想における仏性の位相

 法然が、大乗仏教に通底する概念である「仏性」を、どのように認識していたのかを検討することで、法然浄土思想の意義と特色を明らかにすることを目的とした。具体的には、まず法然浄土思想の完成型である『選択本願念仏集』の直前に成立した『逆修説法』を検討対象として、そこでの口称念仏における名号と声の意味づけ、並びに念仏の修行としての位置づけを抽出し、いずれも絶対的な往生業とは必ずしも断定されてはいないことに注目した。そこで、上記の三要素が決定的要因とはされていない理由を検討し、結論として、法然が「仏性」を断念する方向に舵を切ったことがその根源にあった可能性を指摘した。

 その結論を受けて次に、法然が「仏性」の断念に向かった理由を探るために、その遺文に現れる「仏性」という文言に注目し、それを網羅的に取り上げ、その文言の使われ方および文脈上の意味等の分析を試みた。その作業を通して、経論や法語といった法然の浄土思想に直接かかわる文書のなかでは、「仏性」という語の使用は極めて少ないが、あったとしてもそれは他宗の宗旨への言及、ないしは他の経論などからの引用といった範囲での使用に留まることを明らかにした。一方で、法然自身語りの中で言及される場合には、人間の資質や能力の劣化への自覚を示す文脈の中で使用されるというのがその特徴となっていることを指摘し、結果としてこの認識が、法然に「仏性」断念の方向を取らせることになっていたと結論づけた。さらにそれに加えて、善導を淵源とする指方立相という概念は、そもそも衆生の住まう娑婆世界と阿弥陀仏の極楽浄土を対極的に捉えるものである以上、必然的に仏が人間世界に遍満することを前提とする仏性思想とは相容れないものとなることも示し、そこから、「仏性」を断念した法然の浄土思想は、二元論的世界観を前提とするものとなることを確認した。

 以上を受けて、仏性・如来蔵を断念したなかでの仏凡の関係について、衆生としては、二元論的な世界に分離した状態にある自己と仏を繋ぐ回路をまずは確立しなくては信仰は確立しないことに先ず言及した。そしてその状況のなかで、仏との回路となるのが衆生にとっては口称念仏であり、口称念仏の有効性を保証し、それが衆生と阿弥陀仏とを繋ぐ回路となることを仏側から提示するものが、善導が取り上げた三縁、特に親縁という概念であった、と法然は捉えていた可能性があると結論づけた。


2、各班進捗状況発表

【第一部門】法然文献班 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対象本作成
 善先生の現代語訳をチェックし、最終段階であることを報告。

【第一部門】法然文献班 桑門秀我『選択本願念仏集講義』現代語訳
 出版に向けた作業中であることを報告。初校をチェック中。

【第一部門】『逆修説法班』 『逆修説法班』諸本対象本作成、古本『看護燈録』を中心とする本文批判
2回目のチェックで、五七日の後半であることを報告。

【第一部門】『選択集』諸本研究班 信重院蔵『選択集』諸本等の調査および研究
 写真撮影が終了し、諸本のデータ入力作業中であることを報告

【第二部門】『摧邪輪』班 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳
 紀要への掲載原稿を作成中であることを報告。

【第二部門】『往生要集抄』関係班 『往生要集抄』『往生要集抄義記』諸本対照・訓読・現代語訳
 現在は足踏み状態であることを報告。

【第二部門】中国関係班 道綽『安楽集』解読・現代語訳・文献批判
 前回から2回の研究会を開催。第三大門の見直し作業であることを報告。

【第三部門】伝宗伝戒班『真葛伝語』諸本蒐集および教理的根拠の探索
 『真葛伝語』出版に向けた作業中(初校の見直し)と報告。

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