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第三回研究会開催報告(法然仏教の多角的研究)

2019.6.10
日時:2019年6月10日(月)12:50~14:20
場所:紫野キャンパス 15号館3F 第6会議室
参加者:15名

概 要
<研究発表>
発表者:兼岩和広( 嘱託研究員)
テーマ:「選択集諸本の研究-藤堂祐範旧蔵本について―」

 近年発刊された『新纂浄土宗大辞典』の中「選択集の諸本」の項においては、その所在が未だに藤堂祐範旧蔵となっており、百年前の情報がそのまま明記されている現状を改めなければならない。そこで今般、京都信重院現住職 藤堂祐亨上人のご厚意により、信重院に所蔵されている藤堂祐範の時代より伝わる貴重書物の調査を許可して頂いた。この調査研究によっておよそ百年間停滞していた『選擇集』の書誌学的な研究が再起動される事となる。
 そもそも藤堂祐範とは大正時代から昭和前期に活躍された浄土教書誌学の第一人者である。師の残された業績は現在においても一級資料として浄土宗学者並びに文献学研究者に用いられている。その代表といわれるのが浄土教古版本の研究であり、特に著書『選擇集大観』として纏められた選択集諸本の書誌学的研究は浄土宗典籍研究には欠かせない研究である。その『選擇集大観』には『選択集』の古鈔本類五種、粘葉綴古版本類一一種、袋綴本五三種、近代活字類一四種が解説されており、当時(大正時代)に流布していた『選擇集』を網羅している。
 しかしながら、それ以降、『選擇集』の書誌学的研究はストップしたままである。その現状を打開すべく今般の研究目標としては、およそ百年前に藤堂祐範がまとめられた以上の情報を開示出来ればと考えている。
 現在、信重院に所蔵される『選擇集』文献は五十三種、百六冊に及ぶ。今回、その全てを調査させて頂くこととなる。
 調査研究の内容としては、寸法や丁数といった書誌学的調査によって、新たな目録の作成を試み、さらには、デジタル機器による全資料全頁の撮影を行い、デジタル資料を作成して、将来的にはデジタルブックやデジタルアーカイブとして、現物を傷めること無く閲覧できる場を設けることが出来ればと考えている。
 さらに、種々の大学図書館や寺院、個人蔵などにも範囲を広げ、『選擇集』全体の出版年表を作成し、現在の所在地などを明らかにすれば、『選擇集』の書誌学的研究に大いに役立つ成果を残すことが出来るであろう。
 また、諸本の資料が集まれば、それらの比較することで『選擇集』の校訂作業が行え、新たな『選擇集』テキストの作成も可能と考える。また諸本の紙面に記された、ルビや送り仮名等を解明すれば『選擇集』の明確な書き下し文が作成でき、さらに紙面に記された書き込みを解明すれば注釈書的な資料も作成することが可能で有ろう。
 以上のような内容を「選擇集諸本研究班」として、法然仏教学研究センターの新たな部門の調査研究を始める。今後の研究成果に期待して頂きたい。


<各班進捗状況発表>

【第一部門】法然文献班  元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対照本作成
前回から2回の研究会を開催。大学院生の協力と嘱託研究員の資料提供を受け、遅い歩みながら確実に進んでいることを報告。

【第一部門】法然文献班  桑門秀我『選択本願念仏集講義』現代語訳
出版に向けて原稿を提出。現在、見積もり中と報告。最終作業のために大学院生の応援を募集。

【第一部門】『逆修説法』班 『逆修説法』諸本対照本作成、古本『漢語燈録』を中心とする本文批判
本年度の出版について見通しを発表。結論としては本年度中には困難であると報告。

【第二部門】『摧邪輪』班 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳
巻中の現代語訳と付注作業を再検討。前回より、12丁表9行まで進んでいることを報告。

【第二部門】中国関係班 道綽『安楽集』解読・現代語訳・文献批判
『安楽集』第八大文の解読作業を進めていると報告。

【第三部門】伝宗伝戒班『真葛伝語』諸本蒐集および教理的根拠の探索
入稿用原稿を提出。研究員により手分けして全体の確認を行なっており、学術研究員から協力の申し出により、資料と課題を共有する予定、と報告。


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