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第四回研究会開催報告(法然仏教の多角的研究)

2018.10.19
日時:2018年年10月19日(金)12:50~14:20
会場:紫野キャンパス 15号館3F 第6会議室
参加者:21名
 
概要
<研究発表>
発表者:高津晴生( 嘱託研究員)
テーマ:「大玄『円戒啓蒙』に見られる浄土宗の伝戒観」


浄土宗において七祖聖冏によって伝法制度が確立され、宗脈とともに戒脈も受け継がれていることを標榜する。ここで問題となってくるのは、浄土宗が標榜する一向専修の念仏の教えは、その言葉が示す通り、他を雑えることなく、ひたすら念仏行に励むことを宗とするというところである。つまり、戒も含めた念仏以外の行法は行わないというのが一往の解釈といえる。では、浄土宗において戒法を伝授するのにどのような意義があるのか、また一向専修の念仏の教えと戒法においていかなる関係性が成り立つのか。
この問題に対して今回の発表では大玄の『円戒啓蒙』をもとに浄土宗における伝戒の意義と念・戒の関係性について見ていき、法然、聖光、良忠、聖冏の諸師方からの解釈の展開について考察を試みた。
 
まず、大玄は受戒の意義として以下の四つを挙げている。①は「戒は仏教の通法度」、②は「戒は仏教弘通の根源」、③は「他宗の謗を防ぐため」、④は「念仏の助業」である。
①について言えば、いわゆる仏法として遵守するという法然や良忠、聖冏にも見られる位置づけである。
②は仏法あるいは浄土宗の教義を広めるために、自身を清浄にする。そのための受戒である。この弘通のためと位置づけるものは、他の諸師には見られない考え方である。
③も、『瓔珞経』を根拠としており、諸師には見られない意義である。しかし、大玄は法然や聖冏、両師の行実によって正当性を示すのである。
最後に④について、これが念仏と戒法との関係性という事にもなるわけであるが、大玄は持戒を念仏の助業と位置づけるのである。その根拠として法然、聖光、良忠、聖冏の典拠となるものを挙げているが、実際は聖光や良忠から少し見られるようになり、聖冏に至って伝戒上の必要性から特に助業の位置づけが強調されるようになったと言える。大玄は、さらに持戒がどのように念仏を助けるのかということについて諸師には見られない二通りの功能を挙げている。一つは身・口の二業の止善によって念仏を増進させるものと、もう一つは意業に関して三心を相続させることによって念仏を増進させるという、三業すべての面から念仏の助業となるというものであった。
 
以上のように見てくると、伝統的な伝戒の意義としては、特に「仏法の通規」と「念仏の助業」というのが基本となるであろう。そのうち「念仏の助業」に関しては、大玄によって具体的にどのような形で念仏を増進させるのかという事が詳細に示されるようになったと言える。
 
 
<各班進捗状況報告>
 
【第一部門】 法然文献班  元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対象本作成
前回から1回の研究会を開催。現状把握と今後の段取りを確認。
 
【第一部門】 法然文献班  桑門秀我『選択本願念仏集講義』現代語訳
来年度4月1日に出版費が認められれば上巻・下巻2分冊の内の1冊(300頁弱)を出版のために見積もりをとっている現状を報告。
 
【第一部門】 『逆修説法』班 『逆修説法』諸本対照本作成、古本『漢語燈録』を中心とする本文批判
前回から2回の研究会を開催。「四七日」部分の半分を検討し直したと報告。
 
【第二部門】 『催邪論』班 明恵『催邪論』寛永版訓読・現代語訳
現代語訳の見直し作業を巻中まで終了済であり、紀要投稿原稿のチェックをしたと報告。
 
【第二部門】 『往生要集抄』関係班『往生要集抄』『往生要集義記』諸本対照・訓読・現代誤訳
成果の一部を『仏教文化研究』に寄稿することと、対照表が足踏み状態であることを報告。
 
【第二部門】 中国関係班 道綽『安楽集』解説・現代誤訳・文献批判
前回から4回の研究会を開催。第2大門の見直し作業中と報告。
 
【第三部門】 伝宗伝戒班『眞葛伝語』諸本蒐集および教理的根拠の探索
前回から1回の研究会と打ち合わせを開催。出版に向けた方向性を確認したと報告。
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