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第一回研究会開催報告(法然仏教の多角的研究)

2018.4.27
日時:2018年4月27日(金)14:30~16:00
会場:紫野キャンパス 15号館3F 第6会議室
参加者:18名

概要
<研究発表>
発表者:米澤実江子(嘱託研究員)
テーマ:「明恵の凡夫観」

 明恵(一一七三~一二三二)は、高山寺を拠点として、華厳教学の修学と種々の観法を自行とし、生涯を通じて教学と修行の研鑚に努め、また、在家信者に対して仏教を説き示し、高山寺において講経説法し、説戒の場を設けた。  
 明恵の教学については多くの研究があり、就中、『三時三宝礼釈』(一二一五年。以下『三時礼釈』)については、専修念仏の影響があると指摘されている。『三時礼釈』は、自行の「三宝礼拝」について、在俗にして西方の行者の問いに応える形で説明する内容であり、在家者に対しては、本書以外にも、建仁元年(一二〇一)に『華厳唯心義)』、承元四年(一二一〇)に『金師子章光顕鈔』、建保四年(一二一六)に『三時三宝礼功徳義』、承久三年(一二二一)に『華厳信種義』等を著述している。 本発表においては、『摧邪輪』撰述後の『三時礼釈』を採り上げて、明恵の凡夫観の一端を考察する。
 明恵は『摧邪輪』での善導義解釈において、凡夫を「未入位の凡夫」と位置付け、『荘厳記』では「善導は、具体的な姿に執着する愚かな凡夫を、方角を示して(仏道へ)誘引し、未だ仏道修行の最初の位にも配されない未入位の凡夫を仏道へ導くために『観経疏』を撰述した」という解釈を示す。
 『三時礼釈』では凡夫の位置付けに留まらず、在家の凡夫のあり様について、「一日に一口の食物をも得ないことはない」「おかしな衣であっても、肌を隠さないことはない」とした上で、「栗柿一つにしても先ず三宝に供えよ」「洗った着物は着す前に三宝に供えよ」と述べ、これらの善行を凡夫が可能な一行であるとする。
  以上のことから、明恵は、三宝礼拝を自行とは異なった易行として凡夫に示し、また易行の実践者である「凡夫」は、志を持ち、着替え・清める着物を持ち、極めてわずかながらの食物であれ、また何かしらでも三宝に供える余裕のある者としていることがわかる。
 自行を易行として説く点においては、易行である専修念仏が広く信仰されていたことを意識していたことが窺えるが、明恵自身は、自身を「愚僧」と称しながらも、多くの奇瑞を感得し、易行による次生の楽果を期待せず、生涯にわたって厳しい修行を重視した修行者であり、また、彼ら凡夫と同じ地平に立つものではなく、凡夫も自身も教えの中(修行の階梯)に見出す立場を崩すことはないものと考えられる。


<各班進捗状況報告>

【第一部門 法然文献班 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳】 本庄担当訳の検討が終了し、現在は各担当先生
からの現代語訳原稿を待っている状態であることを報告。研究会は全原稿が揃った段階で各自班員が検討して、再開することを報告。

【第一部門 法然文献班 桑門秀我『選択本願念仏集講義』現代語訳】 資料に沿って、二分冊の出版を前提に本年秋ぐらいまでに半分の見積もりを出せるように準備中であること、第二章は大学院の授業を通して進めている。

【第一部門 『逆修説法』班 『逆修説法諸本対照本作成、古本『漢語燈録』を中心とする本文批判】 前回から2回の研究会を開催。「三七日」の見直し作業に従事。研究会は少ないが着実に見直し作業が進められている。

【第二部門 『摧邪論』班 明恵『摧邪論』寛永版訓読・現代語訳】 明恵の『摧邪輪』と関連し、全体会発表の準備のための研究活動を行なった。 【第二部門 『往生要集抄』関係班 『往生要集抄』『往生要集義記』諸本対照・訓読・現代語訳】 出典の確認および『正蔵』との比較が終了。現在は『抄』と『義記』の比較の作業中。

【第二部門 中国関係班 道綽『安楽集』解読・現代語訳・文献批判】 前回から3回の研究会を開催。現在は「第六大門」を検討中。

【第三部門 伝宗伝戒班】 前回から6回の研究会を開催。「五重(自証)九個條の」推敲作業が進められている。
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