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第7回研究会開催報告(法然仏教の多角的研究)

2017.1.20
日時:2017年1月20日(金曜)12:50~14:20
会場:紫野キャンパス 鹿渓館1階 第1会議室
参加者:14名
        
概 要
<研究発表>
発表者:米澤 実江子  嘱託研究員
テーマ:平雅行氏による『摧邪輪』の援用について
 
明恵(1173~1233年)撰述の『摧邪輪』(1212年)ならびに『荘厳記』(1213年)は法然(1133~1212年)の主著『選択集』(1198年)に対する批判書である。このため、法然教学研究においては、法然が提唱した専修念仏(称名念仏)を、法然と明恵、両者の「仏道修行」に対する見解の相違に言及することによって顕彰するという方法が用いられる場合がある。
 就中、平雅行氏は、「法然は、この世の人々の機根が平等であると主張するために、往生行を「選択本願念仏説」によって一元化した」とする。そしてその証として、『摧邪輪』の「称名の一行は劣根一類のために授くる所なり。汝、何ぞ天下諸人をもって皆下劣根機とするや。無礼の至り、称計すべからず(原漢文)」の一文を援用し、選択本願念仏説は「(明恵の批判を)逆言すれば、もっとも簡便で低劣と考えられている救済手段を一元化すれば、一切衆生が平等に「下劣機根」であると主張できることを意味している」とする。
 平雅行氏は、「(顕密仏教の階層的機根観において)称名念仏は数ある行の中で最も劣った行であり、本来、修行を修しえない「劣根」の人々のために、方便としてあてがわれたものである」との理解に立って、行にも勝劣があり、『摧邪輪』の批判も、明恵は称名行を「もっとも簡便で低劣な救済手段」とする価値観に基づいている、との理解が前提である。しかしながら、明恵は、衆生の機根には異なりを認めながら、菩提心は「自性空」であることで、現実の衆生の多様な在り方に相応し、衆生が平等に発すことができるという理解であり、諸仏が説く諸行も平等に勝徳を備えたものであって、「応病与薬の譬」をもって、あらゆる状況の衆生に相応することを主張しており、称名行を「低劣な救済手段」とするものではない。
 本発表では、明恵の行に対する解釈を明らかにすることで、平雅行氏における、明恵の行に対する理解は妥当ではなく、さらにその理解に基づいて『摧邪輪』を援用することは、平雅行氏による法然の「選択本願念仏説」の顕彰としても妥当ではないことを述べた。
 
 
<各班進捗状況報告>
【第一部門 法然文献班 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対照本作成】
発表者:角野玄樹嘱託研究員
前回から2回の研究会を開催。伊藤真宏訳の「登山状」部分検討修正。「示或人詞」に入ったと報告。
 
【第一部門 法然文献班 桑門秀我『選択本願念仏集講義』現代語訳】
発表者:本庄良文研究員
紀要掲載へ向けての作業に従事していることを報告。
 
【第一部門 『逆修説法』班 『逆修説法』諸本対照本作成、古本『漢語燈録』中心とする本文批判】
発表者:齋藤蒙光嘱託研究員
前回からの進展がなかったことを報告。
 
【第二部門 『摧邪輪』班 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳】
発表者:米澤実江子嘱託研究員
引き続き書き下し付注作業に従事していると報告。前回全体会の欠席を受け、班の現状と課題について発表。
 
【第二部門 門下班 門下研究目録作成】
発表者:伊藤茂樹嘱託研究員
前回からは、研究会開催の進展がないが、班員個々にデータ入力作業に従事しており、2月に確認作業に入ることを報告。
 
【第二部門 『往生要集鈔』関係班 『往生要集鈔』『往生要集義記』諸本対照・訓読・現代語訳】
発表者:南宏信嘱託研究員
往生要集抄班 引き続き作業に従事する中、従来研究対象から見逃しがちな無刊記本の中に、実は、古い傾向のものがある可能性があることに気づいたことを報告。
 
【第二部門 中国関係班 道綽『安楽集』解読・現代語訳・文献批判】
発表者:永田真隆嘱託研究員
前回から1回の研究会を開催。
「菩薩爾時深生恭敬」から「是名菩薩一行三昧」までを訳し検討したことを報告。
 
【第三部門 伝宗伝戒班 『真葛伝語』諸本蒐集および教理的根拠の探索】
発表者:高津晴生嘱託研究員
前回から2回の研究会を開催。
「直正」「直面」の内容と相違について確認、討議。(直証の「証(照)」)の意味の確認などを行なったと報告。
 
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