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第4回研究会開催報告(法然仏教の多角的研究)

2016.10.14

日時:2016年10月14日(金曜)13:00~14:30
会場:紫野キャンパス 鹿渓館1階 第1会議室
参加者:19名

概 要
<研究発表>
発表者: 南 宏信  嘱託研究員
テーマ: 法然「選択証誠」成立考

「選択証誠」とは法然が『選択集』第十六章で「浄土三部経」を根拠として導出する「八種選択義」の一つである。「八種選択義」は法然浄土教における最重要概念の一つであり、称名念仏が弥陀・釈迦・諸仏同心の選択であることを称揚する。本発表で俎上に載せる「選択証誠」は『阿弥陀経』六方段から導出されており,『選択集』十四章の内容を受けて論じる。
 本発表は以下の二点の理由から、「八種選択義」成立の淵源に『往生要集』があることを前提としている。一点は『般舟三昧経』から導出される「選択我名」は法然『往生要集釈』に説く六義の「自説不自説」に淵源を見ること。もう一点は『選択集』で引用する浄土三部経は、『往生要集』においてすでにほぼ引用されていることである。これにより『往生要集』『阿弥陀経釈』『逆修説法』(三七日・一七日・二七日)『選択集』の順に並べ、『阿弥陀経』の当該箇所における法然の註釈の仕方を比較し、「選択証誠」の成立過程を概観する。
 「若一日乃至七日」の念仏においては、以下の通りである。『阿弥陀経釈』では「簡小善」と「正修念仏」に分けることや、善導『法事讃』「随縁雑善」等の文を根拠に「雑善=少善根」を主張してはいるが、『龍舒浄土文』を引用して「念仏多善根」を明言しないという意味で、『逆修説法』『選択集』ほど熟していない。また『逆修説法』では『龍舒浄土文』の引用の仕方を検討し、中でも「雑善」(三七日)から「余善・余行」(一七日)に使用する語句が変遷することが指摘できる。
 「六方諸仏証誠」の念仏においては『阿弥陀経釈』の段階では「若一日乃至七日」の念仏を釈迦の「自証知見の証誠」、「六方段」を諸仏の「助成証誠」と位置付けることから、釈迦が証誠の主体になっている。これが『逆修説法』においては、「自証知見の証誠」は見られず、代わりに念仏往生は「釈尊の選びたまえる要法」との主張に変化していく。この「釈尊の選びたまえる要法」は「若一日乃至七日」の註釈において引用し続ける善導『法事讃』「随縁雑善」等の文にある「如来選要法」を援用していることが指摘できる。一方で六方諸仏は「助成証誠」を「六方諸仏の証誠したまえる説」とし、「証誠」の語は六方諸仏が担うようになる。そして『選択集』では『逆修説法』三七日を基盤にして「選択証誠」を導出していく。
 以上「選択証誠」の成立過程を概観し、そこに善導『法事讃』「随縁雑善」等の文が深く関係しているという特徴を見た。
〔付記〕本発表は平成二十七~三〇年度科学研究費助成事業・若手研究(B)「中世浄土教における新出写本の文献学的研究」課題番号15K16621による研究成果の一部である。

<各班進捗状況報告>
【第一部門 法然文献班 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対照本作成】
発表者:角野玄樹嘱託研究員
前回から5回の研究会を開催。今後、完成までの作業について確認したことを報告

【第一部門 法然文献班 桑門秀我『選択本願念仏集講義』現代語訳】
発表者:本庄良文研究員
紀要原稿提出に向けて、確認作業を報告。

【第一部門 『逆修説法』班 『逆修説法』諸本対照本作成、古本『漢語燈録』中心とする本文批判】
発表者:吉原寛樹嘱託研究員
前回から4回の研究会を開催。六七日までの現代語訳作業が終了していることを報告。

【第二部門 『摧邪輪』班 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳】
発表者:米澤実江子嘱託研究員
研究会は未開催だが、現代語訳作業の完了部分の見直し作業について報告。

【第二部門 門下班 門下研究目録作成】
発表者:伊藤茂樹嘱託研究員
研究会としての開催はなし。個々の作業でデータ入力を進めている状況を報告。

【第二部門 『往生要集鈔』関係班 『往生要集鈔』『往生要集義記』諸本対照・訓読・現代語訳】
発表者:南宏信嘱託研究員
進展なしと報告。

【第二部門 中国関係班 道綽『安楽集』解読・現代語訳・文献批判】
発表者:加藤弘孝嘱託研究員
前回から6回の研究会を開催。紀要原稿提出に向け、第一大門の見直し作業に従事している状況を報告。

【第三部門 伝宗伝戒班 『真葛伝語』諸本蒐集および教理的根拠の探索】
発表者:高津晴生嘱託研究員
前回から3回の研究会を開催。「第三授手印伝」では別名と伝授作法、伝授の意義の確認。九箇条の現代語訳推敲。研究会の年間計画等を報告。

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