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第2回研究会開催報告(法然仏教の多角的研究)

2016.5.27
日時:2016年5月27日(金曜)13:00~14:30
会場:紫野キャンパス 鹿渓館1階 第1会議室
参加者:16名
        
概 要
<研究発表>
発表者:齋藤 蒙光 嘱託研究員
テーマ:法然における永観教学の受容
 
南都浄土教の学匠・永観は、浄土宗祖・法然に先立って善導の『観経疏』「散善義」の「一心専念」の文を引用し、源信よりも阿弥陀仏の本願や称名念仏を重視している。また、『往生拾因』と『選択集』とで共通する話題も多い。他方、永観の思想には、「一心」「至心」を精神集中と解釈して三昧発得を重視する、諸法無自性・法身同体の教行を受用する、機根観や浄土解釈に上下の幅が見られる、自力的要素と他力的要素が混在しているなど、法然との相違点も見られる。
法然は、永観の念佛思想が自身のそれと似て非なるものであることを鑑みてか、その著作から直接引用することはしない。しかし、永観の名を挙げたり、その教説を踏襲する表現なども散見することから、法然が永観に強い関心を寄せて続けたことが窺える。
漢文体の教義書より永観に関連する記述を抜き出すと、東大寺講説の記録である「無量寿経釈」では、永観が但念仏往生を許容した点を高く評価しつつも、永観が併修した尊勝陀羅尼や阿字本不生、八不中道の理観を廃捨している。「逆修説法」においては、やはり永観が「念仏宗」を名乗った点を高く評価し、また阿字本不生の義に基づく「名号万徳所帰」説を批判しつつも受容し、極楽の宝地に関しては永観と源信の教説を取り入れながら独自の解釈を構築している。『選択集』においては、念仏三昧の滅罪の力に関する喩えや善導が三昧発得の人であるという記述を受用するが、その意義は大きく異なり、永観の名を挙げることもしない。
 和文体の法然遺文を見ると、「要義問答」においては、永観を浄土宗の先達と認め、教信沙弥の説話の一部を用いている。また、「往生大要抄」や「往生浄土用心」では、信や行に対する曲解を戒めるために、永観の教説を下敷きとしつつ独自の解釈を展開している。さらに「三部経釈」「念仏大意」「念仏往生要義抄」では、「罪悪生死」の自覚について、永観の教説を受用している。これらにおいては、教義書よりも積極的に永観の教説を取り入れている。
以上のように、法然は必要に応じて度々永観の教説を受用するが、「専念」すなわち精神を集中させる口称念仏に関する教説については、ただひたすら阿弥陀仏の本願に随順する易行の散心口称念仏へと解釈し直している。


<各班進捗状況報告>
【第一部門 法然文献班 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対照本作成】
発表者:角野玄樹嘱託研究員
前回から2回の研究会を開催。『元亨版和語燈録』伊藤訳「大胡」「津戸」の検討を報告。
 
【第一部門 法然文献班 桑門秀我『選択本願念仏集講義』現代語訳】
発表者:本庄良文研究員
下訳がすでに完成し、順次雑誌などに掲載していくこと方向性を報告。
 
【第一部門 『逆修説法』班 『逆修説法』諸本対照本作成、古本『漢語燈録』中心とする本文批判】
発表者:岩谷隆法嘱託研究員
前回から3回の研究会を開催。順調なペースとあと2~3回で終了する見通しを報告。
 
【第二部門 『摧邪輪』班 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳】
発表者:米澤実江子嘱託研究員
引き続いて『摧邪輪』巻中「第五の批判」の付注・現代語訳作業中であることを報告。
 
【第二部門 門下班 門下研究目録作成】
発表者:伊藤茂樹嘱託研究員
門下の研究論文、目録作成作業の途中経過、各自が入力作業中であることを報告。
 
【第二部門 『往生要集鈔』関係班 『往生要集鈔』『往生要集義記』諸本対照・訓読・現代語訳】
発表者:南宏信嘱託研究員
複数文献を比較し、古写本引用文献を、良忠がどれを見たのかという視点で調査中であることを報告。
 
【第二部門 中国関係班 道綽『安楽集』解読・現代語訳・文献批判】
発表者:加藤弘孝嘱託研究員
前回から3回の研究会を開催。公表の為に第一大門を見直し作業中であることを報告
 
【第三部門 伝宗伝戒班 『真葛伝語』諸本蒐集および教理的根拠の探索】
発表者:伝宗伝戒班『真葛伝語』 高津晴生嘱託研究員】
前回から4回の研究会を開催。今後の活動の方向性や、研究会での議論の内容を報告。

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