学長あいさつ

佛教大学長
田中 典彦

佛教大学は、1912年の高等学院および1913年の佛教専門学校から歩みを開始し現在では7学部14学科、大学院4研究科7専攻を配置して、学部生・大学院生あわせて約7000名を擁する<人間をみつめる>総合大学として発展を遂げてまいりました。同時に本学は、通信教育課程に学部・大学院を併設し、およそ12000名の通信教育生を抱かえ、古都京都の北区の紫野キャンパスと、中京区の二条キャンパスを拠点として人材養成にまい進しております。

本学は、校名が示すとおり、仏教を建学の理念として設立された大学であり、なかでも鎌倉時代に浄土宗を開かれた法然上人の教えをその拠り所としています。仏教を開かれた釈尊(ゴータマ・ブッダ)は「私とは何か」「私はどう生きるか」そして「私は自分自身に何を期待できるか」、つまり私の生きる道、人の生きる道を求めて修行され、その道を成就され、私たちに人として歩むべき道を説かれたのであります。

一方、法然上人は、末法とも呼ばれた混乱の続く不安定な時代にあって、生きることに苦しみ、天災地変や戦乱の苦しみにあえぐ人々の中で、やはり私の生きる道、人の生きる道を求められ、自己の愚かさを自覚し、念仏の道を体得し、そしてすべての人が等しく救われる道を説かれたのであります。このお二人に共通する生き様と考え方こそ、本学が建学の理念とする仏教精神に他なりません。

あらためて現代を省みたとき、社会はますます混沌の度を強めつつあります。まさに人間が、その真の生き方を忘れつつあるようにさえ思える社会となってきていると言っても過言ではないでしょう。このような混沌とした時代であるからこそ「如何に生きるか」を根本的問いかけとして、生き生かされながらある自分自身をしっかりと見つめながら、人々の間にあって自分を活かせて生きてゆけることのできる人材を養成することが重要であると考えています。

仏教思想の中、とくに人間形成にとって重要なこととして教えられているのは「転識得智(てんじきとくち)」です。つまり識を転じて智慧を得ることであって、われわれが得てきた知識をもって、人生のさまざまな場において、今何をすべきかを判断することができ、実行してゆく力(生きる力)へと転換してゆくことです。「転識得智」は決して単なる精神論なのではなく、そこにはチャレンジ(前向きの姿勢)とアドベンチャー(知的冒険)やインヴェンション(革新)といった人間の智の働きが磨かれる必要があります。そうすることによってわれわれはより良い充実した自分の生き方ができるとともに、他に幸せを施す(布施)ことができるのです。

佛教大学は、2012年に開学100周年を迎えました。これまでの100年の歩みをしっかりと踏まえながら、学生、教職員が和をもって共に学び合える共育大学を目指してまいります。

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