歴史文化学科

実践的な学びを通し、
主体的に行動し課題を
解決する力を身につける。

フィールドワークを中心に、現代まで残る有形・無形の史料を読み取り、過去から現代までに至る人間の営みを探究します。2年生以降は地域文化領域・民俗文化領域・芸術文化領域の3領域から主専攻と副専攻を選択。多角的な視点での学びとフィールドワークでの実践的な学びによって問題発見・課題解決能力を養います。

学びのポイント

歴史文化のさまざまな分野・研究がリンクし深まる3領域での学び

文献や遺物だけでなく行事、祭礼、芸能、芸術、民話など、今に残る有形・無形のモノから真実を追究する中で、互いに関わり合う3領域から興味のある分野や研究を選択できます。

民俗文化領域

暮らしの表裏に見え隠れする事象の意味を読み解く。

この領域で学べるのは、基本的には民俗学・文化人類学・神話伝承学です。
このうち神話伝承学だけは比較的古い時代を対象としますが、民俗学と文化人類学の目的は、現代の人々のくらしの中の文化について知り、さらに未来のくらしについて考えることにあります。これらの学問はいわゆる座学ではなく、フィールドワークという方法をもっとも重視するという特徴があります。私たちの日常生活の表裏に見え隠れする事象の意味を読み解いていく研究領域として、一味違った学問の醍醐味をぜひ味わってください。

地域文化領域

地域の特色を目に見える遺物・遺跡や景観から探究する。

遺物や遺跡、遺構に残る埋もれた痕跡から地域における過去の人々の営みを解明する考古学。
観光地、街並み、鉄道、棚田、河川といった地域における景観の成立と仕組みを検討する地理学。この領域では地域の特色を、主に考古学と地理学の方法に基づいて明らかにしていきます。
文献資料の解読だけではなく、実測図や地図を片手に地域を実体験しましょう。

芸術文化領域

作品を見る感性を磨き、魅力の根源を浮き彫りにする。

日本の彫刻・絵画などの造形作品や伝統芸能を対象に、その作品が生み出されて受け継がれてきた意味などを多角的な視点で観察し、人間の創造的な営みを読み解きます。この領域では本物を自身の目で鑑賞し、独自の感性を育むことが大切。魅力的な研究対象をたくさん有するこの京都で、芸術文化の魅力を発見しましょう。

主専攻と副専攻を選択し広い視野で研究を深める

1年生は歴史文化を幅広く学び、基礎的な知識を身につけます。2年生以降は自分の興味に沿った領域で主専攻・副専攻を選択。多角的な視点での学びとともに、フィールドワークの実践的な学びで専門性を高め、4年生には研究の成果を卒業論文として形にします。

フィールドワークを通して課題解決能力を養う

歴史文化学科では、現場での学びを重視しています。フィールドワークで現地に足を運んだり、ICT技術を用いて人や社会とつながったり、研究に必要な情報を収集する中で、コミュニケーション能力や問題発見・課題解決能力を育みます。社会に出た時に即戦力となるスキルを身につけることは、将来のスキルアップにも役立ちます。

教育の方針

ピックアップ授業

網島 聖 ゼミ

地域の成り立ちや特徴について考察する

このゼミでは、人文地理学の方法から地域の成立や発展に関わる多様な問題を考察します。地域を維持し特徴づける要素として、観光や交通、景観、工場立地などのテーマを各自が立て、状況を地図にして把握します。
また行政や企業の担当部署、住民から直接お話を伺う経験を重ねることで、地域社会の維持や発展を主体的に考える力を身につけていきます。

民俗文化特講

東アジアの生活様式から見る「文化」

共通の思想・宗教的影響を受けながら発展した日中韓を舞台として、家族・親族観、葬送儀礼や祭など、国同士の同異を生活文化から比較検討。「文化は国境によって区別されるものではない」ということを、歴史的に変遷する事例を通して理解します。また、現代の映像を見ながら文化そのものの定義について考察します。

卒業研究テーマ例

  • 京都の観光と町家
  • 京料理から考える食文化 ―松花堂弁当と湯木貞一を中心に―
  • 近代日本画における落款について ―横山大観を中心に―
  • 中世越前・若狭の石塔に関する考察
  • 食品系工場跡地における都市再開発と地域への影響 ―兵庫県尼崎市を事例に―
  • 白山信仰と真宗民俗 ―富山県五箇山地域を事例として―
  • 観光都市・京都におけるオーバーツーリズムの実態
  • 陰陽道と暦神 ―金神忌について―

取得可能な教員免許状・資格

教員免許状

  • 社会/中学校1種
  • 地理歴史/高校1種
  • 公民/高校1種
  • 特別支援学校1種

資格

  • 図書館司書
  • 学校図書館司書教諭
  • 学校司書
  • 博物館学芸員
  • 社会教育主事
  • 浄土宗教師
  • 浄土宗開教使
  • 浄土宗社会教化主事
  • レクリエーション・インストラクター
  • グローカルプロジェクトマネジャー(GPM)
  • 年間の履修登録単位数に上限があるため、取得できる教員免許状・資格の数には制限があります。
  • 教員免許状・資格の取得にあたっては、所定科目の履修が必要です。
  • 併設されている通信教育課程を併修することにより、小学校1種などの他学科指定の教員免許状も取得可能です。

教員の著書紹介

『同業者町の研究―同業者の離合集散と互助・統制』

著:網島聖
(清文堂、2018年)

近代の産業化は機械や資本の導入だけではなく、商工業者の制度や慣習に支えられて進みました。この本は同業者町に集う商工業者たちの営みから産業化の進展を紐解いていきます。

『いのちのかたち:時空を超える唐草』

著:安藤佳香
(東方出版、2020年)

古代インドで育まれた「蓮から万物が創造される」という壮大なイマジネーション。神秘の想像力が生みだした唐草をはじめとする豊饒の「いのちのかたち」が、アジア各地の美意識や信仰と融合しながら変容していく過程の具体相を、703点の豊富な図版で解き明かす。

『神楽と祭文の中世――変容する信仰のかたち』

著:斉藤英喜(他編)
(思文閣出版、2016年)

これまで見過ごされていた「中世の神楽」の世界を、祭文や祈祷の現場を通して明らかにしていく論文集。そこには陰陽道の神々や死者霊たちを祀る中世神楽の世界が浮き上がってくる。

『折口信夫:神性を拡張する復活の喜び(ミネルヴァ日本評伝選)』

著:斎藤英喜
(ミネルヴァ書房、2019年)

国文学者・民俗学者として有名な折口信夫の生涯と思想、学問を「神道史」の中に位置づけ直し、よりしろ、まれびと、ほかひびと、天皇霊、大嘗祭論など「折口学」の新たな可能性を問う一書。

『はんこと日本人: 日本を知る』

著:門田誠一
(吉川弘文館、1997年:2018年復刊)

毎日の生活にはんこは欠かせない。日本人はなぜ、いつごろからはんこを押し続けてきたのか。その歴史を辿り、はんこをめぐる日本独特の文化・社会を探る。1997年初版の復刊。

『京のまつりと祈り―みやこの四季をめぐる民俗』

著:八木透
(昭和堂、2015年)

本書は祇園祭や五山送り火の担い手としても活躍する民俗学者が、 "水と火の信仰"という独自の視座から、京都のまつりの隠された民俗的意味について解き明かします。

『日本の民俗信仰を知るための30章』

著:八木透
(淡交社、2019年)

書名が示す通り、本書は日本各地の民俗信仰とその表象でもある年中行事に焦点を絞り、庶民のくらしと祈りのかたちについて、民俗学の立場からアプローチしたものである。

『海からみた日本の古代』

著:門田誠一
(吉川弘文館、1992年:2020年復刊)

渡来人がもたらした装身具や武器・武具、藤ノ木古墳と高句麗の王墓など東アジア海域の考古資料を用いて、古代国家胎動期の日本とその文化の再構築を試みた。

歴史学部ガイドブック「歴史学部のあるき方」について

高校までの暗記主体の歴史ではなく、大学で歴史学を学ぶための手引き書として、「歴史学部のあるき方」という冊子を作りました。この冊子には歴史学部の授業の種類と特色、履修の方法や各学年で学ぶ内容、専門教育の流れがまとめられています。
また、コースごとの基本図書・辞典・参考資料などもあげられていますので、歴史学を学び、歴史学部を「あるく」のに役立ててください。

「歴史学部のあるき方」内容ピックアップ

授業の種類と特色

歴史学部では、以下のような授業を準備しています。

授業の種類 科目名 授業の特色
講義科目 概論
特論
―概論
―特論
学問領域全体のあらましを講義する科目です。専門学習を進める上で必要な基礎的知識や考え方などを学びます。
概論系科目 ―学
―史
概論・特論に準じる科目です。概論で学習した知識を基礎に、各分野のより専門的な内容を学びます。
特講 ―特講 概論で学習した知識を基礎に、専門分野の研究成果や研究方法などを具体的なテーマに即して学びます。
講読系科目 歴史
―基礎史料講読
―基礎英語文献講読
―基礎演習
―史料講読
史料・資料などを読解、分析・解析したりする力を養う授業です。辞書や工具書などを用いて史資料を事前に読解し、授業では史資料の読み方や内容などについて報告したりします。
講読系科目は基礎的な学習、専門的な学習、発展的な学習と3段階に分かれており、3セメスター以降順次学習を進めていきます。また、領域によっては英語文献を読解することを主とした科目(歴史学科西洋史領域)、資料の読解だけでなく資料を用いた考察を含む科目(歴史学科西洋史領域、歴史文化学科各領域)もあります。
歴文
―基礎演習
―演習
―古文書演習
―発展史料講読
―発展英語文献講読
―史料講読(外書)
―発展演習
ゼミ科目 ゼミナール ―ゼミ
専門学修のための日本語表現
各セメスターで開講されるゼミナール形式の授業です。ゼミナールとは、あらかじめ設定されたテーマや自らが設定したテーマについて、受講生自身が調査・研究を行い、報告をもとに受講生間で質疑応答や意見交換を行う、学生主体の授業スタイルです。
フィールドワーク系科目 歴史
臨地研修
フィールドワーク
教室を出て、直接現地に赴き、施設を見学したり、簡単な地域調査などを行う体験型の授業です。
歴文
フィールドワーク演習
フィールドワーク発展演習
教室を出て、地域の自然・社会・文化の実態に触れながら、社会や文化の特色、地域の課題や問題解決の手がかりなどを考える体験型の授業です。基礎的な学習と発展的な学習の2段階があります。
  • 科目名は代表的な科目名の型を示したものです。講義科目には、これ以外にも各種類に相当する科目があります。

ゼミの履修セメスターと学習内容

歴史学部では、第1セメスターから第8セメスターまでゼミ授業を必須科目としています。歴史学科・歴史文化学科とも科目名は同じです。また、ゼミの選択方法は第1セメスターから第4セメスターまでは同じですが、第5セメスターからは学科で異なります。

科目名 セメスター 学修内容
入門ゼミ 1 大学生として学ぶために必要な基礎的な技能などを学びます。
専門学修のための日本語表現 2 歴史学部の学生として必要な学術的な文章の読み方・書き方などを学びます。
研究法ゼミ 3 4 時間軸と空間軸をあわせもって考える能力を養うとともに、学科の専門分野に関する基礎知識を高め、専門分野における学習・研究の準備をします。
発展研究ゼミ 5 6 第4学年における卒業論文の作成を視野に入れて、専門分野における知識を深めるとともに、史料の分析方法、調査・研究の方法などを学びます。
卒業研究ゼミ 7 8 卒業論文の完成を目指して、卒業研究ゼミ担当教員の指導に基づきつつ、各自で論文作成を進め、またその経過及び成果をゼミ内発表の形式で行う授業です。

専門教育の流れ

歴史文化学科のカリキュラムの特色は、基本的な情報検索の技能や海外を含む異なる地域や文化への理解を基礎として、多様な文化と社会に対する理解能力を練磨し、各地域個々の具体的な課題へと意識と関心を導いていくように企図していることです。
そのために、まず大学で学ぶのに必要な方法を習得した後、専門の研究分野に基礎を学び、特定のテーマに関する専門知識を錬磨して、説明や表現する能力を錬磨するために卒業論文を作成します。
さらに、地域学の一つとして多文化の複合体である京都を対象とした、多角的な視野で接近を図る講義も準備しました。

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