山極 伸之 | (佛教大学長) |
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坪内 稔典 | (佛教大学文学部教授) |
山本 純子 | (第55回H氏賞受賞の詩人) |
原田 敬一 | (佛教大学歴史学部教授) |
西岡 正子 | (佛教大学教育学部教授・ 佛教大学四条センター長) |
達富 洋二 | (佛教大学教育学部准教授) |
日時 | 表彰式は延期となりました。 詳細は決定次第ご連絡いたします。 |
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最優秀賞 | 図書カード3万円 (低学年部門1名・高学年部門1名) |
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優秀賞 | 図書カード1万円 (低学年部門4名・高学年部門4名) |
選考委員 特別賞 |
図書カード5千円 (低学年部門6名・高学年部門6名) |
入選 | 図書カード3千円 (低学年部門10名・高学年部門10名) |
佳作 | 記念品 (低学年部門100句程度・高学年部門100句程度) |
学校優秀賞 | 希望に応じ本学教員による派遣授業(3校) ※学校と相談させていただきます。 |
今年もまた楽しい俳句がいっぱい集まりました。その数29,105句、前回より3,000も増えました。その中から選んだ最優秀句は次の2句です。
低学年最優秀句
ゴーヤくんつるのブランコるんるるん 京都府 京都市立常磐野小学校 2年 伊藤 宙輝高学年最優秀句
バレンタインげんかん前でドッキドキ 京都府 宇治市立北小倉小学校 4年 廣部 有紀近年、ゴーヤを窓の日覆(ひおい)に育てることがはやっています。緑のカーテンと呼ばれ、エコの一つの風景になっていますね。伊藤さんの句はその緑のカーテンのゴーヤでしょう。風に揺れるゴ―ヤがいかにも楽しそうです。ゴーヤ(にがうり)は秋の季語でしたが、今では夏の季語とみなしていいですね。緑のカーテンや沖縄料理のゴーヤチャンプルが代表する夏の季語、それを「ゴーヤ」としたいのです。
廣部さんの句も現代の風景です。友だちにチョコレートを届けようとしているのですが、「ドッキドキ」に気持ちが素直に、そして具体的に出ています。
ところで、小学生が俳句を作る意義は何でしょうか。伝統的な文芸を体験すること、季語を通して自然に触れることなどが考えられます。だが、それ以上に大事なことは、言葉の楽しさを具体的に体験することではないでしょうか。
五七五で表現した時、言葉はいつもとちょっと違った表情を示します。伊藤さんの「ゴーヤ」という言葉はまるで友だちのようだし、廣部さんの「バレンタイン」も玄関(げんかん)前という具体的な場所と結びついて、まさに言葉そのものがドッキドキしています。
五七五はふだん(日常)の言葉のリズムではありません。ふだんは五七五で話したり書いたりはしません。五七五で表現することは、ふだんとはちょっと違う行いです。そのふだんと違う行いが言葉を生き生きとさせるのです。生き生きとした言葉に出会うと、言葉っておもしろいとか、言葉って楽しいと実感するのではないでしょうか。その実感は言葉に対する親しみを育て、言語生活の基礎を豊かにすると思われます。言葉はおもしろい、言葉は楽しいという実感を持っていると、読んだり書いたり話したりすることも、おもしろく楽しくなるのではないでしょうか。
さて、この「佛教大学小学生俳句大賞」の主役は小学生ですが、主役を支えているのは言うまでもなく教師や保護者です。学校をあげての応募も次第に増えていますが、小学生を囲む大人の言葉への関心、それがこの俳句大賞をも支えています。
人は言葉を通して見たり感じたり考えたりします。つまり、言葉が生き生きとしていると、見ることも考えることも生き生きとします。その生き生きとした言葉を体験するささやかな場、それが「佛教大学小学生俳句大賞」でありたい、とこの賞にかかわる私たちは思っています。
最後になりましたが、教師や保護者のみなさんのこの賞へのいっそうのご理解とご支持をお願いします。
坪内稔典(選考委員代表・佛教大学文学部教授)