第12回佛教大学小学生俳句大賞は、日本全国の小学生の皆さんや海外から、32,678句(低学年の部11,510句、高学年の部21,168句)の作品をご応募いただきました。また、団体応募校数は286校でした。たくさんのご応募、ありがとうございました。
厳正な審査により選ばれた作品を発表いたします。
青砥 弘幸 | (佛教大学教育学部講師) |
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尾池 和夫 | (京都造形芸術大学学長・俳人協会名誉会員) |
田中 典彦 | (佛教大学長) |
坪内 稔典 | (佛教大学名誉教授) |
原田 敬一 | (佛教大学歴史学部教授) |
山本 純子 | (第55回H氏賞受賞の詩人・俳人) |
日時 | 2019年3月23日(土曜) 13:30〜 佛教大学紫野キャンパスで開催 ※入賞者(佳作を除く)を表彰式にご招待。 |
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最優秀賞 | 図書カード1万円(低学年・高学年各1名) |
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優秀賞 | 図書カード5千円(低学年・高学年各4名) |
選考委員特別賞 | 図書カード3千円(低学年・高学年各6名) |
入選 | 図書カード2千円(低学年・高学年各10名) |
佳作 | 記念品(低学年・高学年各100句程度) |
学校優秀賞 | 希望に応じ本学教員による派遣授業(3校程度)※学校と相談させていただきます。 |
話すとき、書くとき、わたしたちは言葉を使っています。では、見るときはどうでしょうか。
目の前のケーキを「あっ、イチゴのケーキ! うまそう」と思うことがあります。このとき、イチゴのケーキだと分かるのは、イチゴとかケーキという言葉を知っているからです。「うまそう、食べたい」と思ったのも、「うまい」「食べたい」という言葉を知っていたからです。つまり、見るときも、そして「うまそう」と感じるときも、言葉によっています。
見たり、考えたり、感じたりを、わたしたちは言葉を通してしているのです。
人は一生の間に使う言葉の大半を小学生時代に身につけると言われています。みなさんは日々に言葉を覚え、その言葉を身につけているのです。たとえていえば、みなさんは言葉が体じゅうにつまった「言葉人間」になっているのです。その身についた言葉を使って、見たり、考えたり、感じたりしているのです。
というように考えてくると、言葉って、とても大切です。
言葉がいきいきとしているとき、見たり、考えたり、感じたりすることもいきいきとしています。
この佛教大学小学生俳句大賞は、いきいきとした言葉を体験する機会です。575で表現することで、言葉の意外な働きや表情に出会えます。
これは今回の低学年の部の最優秀賞作品です。「とり合いだ」と始めたのがとてもいいです。何か大事なものを取り合うのかと思いますが、そうではなく、取り合うのは「バケツにはった丸ごおり」です。それを取ったところでなんていうこともないのですが、友だちどうしの楽しさがよく伝わってきます。
これは高学年の部の最優秀賞作品です。「いなごをふまず」から自転車をこぐ人の表情が目にうかびます。イバゴは稲を食べるバッタ。そのイナゴがたくさん道にいるのです。正岡子規に「くたびれて帰る野道やいなご踏む」がありますが、踏まないように注意してこいでいる姿を想像すると、なんとなく笑ってしまいます。
各地の小学生のみなさん、これからも折にふれて俳句を作り、言葉の楽しさ、おもしろさを体験してください。
坪内稔典(選考委員代表・佛教大学名誉教授)