第9回佛教大学小学生俳句大賞は、北は北海道、南は沖縄までの日本全国の小学生のみなさんや、海外からもご応募いただきました。
低学年の部14,534句、高学年の部25,328句、合計39,862句もの応募があり、数多くの小学校から団体応募をいただきました。
たくさんのご応募、本当にありがとうございました。
厳正な審査により選ばれた作品を発表させていただきます。
青砥 弘幸 | (佛教大学教育学部講師) |
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尾池 和夫 | (京都造形芸術大学学長・俳人協会評議員) |
田中 典彦 | (佛教大学長) |
坪内 稔典 | (佛教大学名誉教授) |
原田 敬一 | (佛教大学歴史学部教授) |
山本 純子 | (第55回H氏賞受賞の詩人) |
日時 | 2016年3月27日(日曜) 14:00〜 佛教大学紫野キャンパスで開催 ※入賞者(佳作を除く)を表彰式にご招待いたします。 |
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最優秀賞 | 図書カード3万円 (低学年部門1名・高学年部門1名) |
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優秀賞 | 図書カード1万円 (低学年部門4名・高学年部門4名) |
選考委員 特別賞 |
図書カード5千円 (低学年部門6名・高学年部門6名) |
入選 | 図書カード3千円 (低学年部門10名・高学年部門10名) |
佳作 | 記念品 (低学年部門100句程度・ 高学年部門100句程度) |
学校優秀賞 | 希望に応じ本学教員による派遣授業 (3校程度) ※学校と相談させていただきます。 |
思いがけないことが俳句になります。それが小学生の俳句の特色かもしれません。たとえば今回の低学年の部の最優秀賞の作品は、自転車の熱中症という意外な句です。
倒れてる自転車は熱中症だ、という見方は、自転車と作者にあまり違いがないというか、自転車を差別していないから可能になった見方だと思います。
さといものはっぱはぞうの耳みたい 愛知県 碧南市立日進小学校 2年 榎本 塁
これらの優秀賞句も、ランドセルやさといもの葉を差別していません。それらはとても近いというか、仲間なのです。
もしかしたら、小学生の特権は、まわりのいろんなものが自分の仲間であることかも。大人になるにつれて、人はその仲間意識を薄くする、という気がします。倒れた自転車を見て、ふつうの大人だと、じゃまだなあ、とか、だれかがいたずらして倒れたな、としか思いません。自転車と仲間でないから、自転車の熱中症に気づかないのです。
上は高学年の最優秀句です。読んだとたんに絵が浮かぶのではないでしょうか。線の入り交じった、むつかしくいえば幾何学的な絵が。カマキリは何か目的があってさかだちをしているのでしょうか。それとも、夢中に遊んでいる? 絵から何を読み取るかは、読む人の自由です。
俳句はときに言葉の絵のようになります。
雪とけて村いっぱいの子どもかな 小林一茶
柿くえば鐘がなるなり法隆寺 正岡子規
よく知られたこれらの句もそれぞれ絵のような情景です。五七五の短い表現は、すばやく一枚の魅力的な絵を描くことがあるのです。
しもばしら葉っぱが服を着てるよう 兵庫県 芦屋市立宮川小学校 5年 山田 開翔
しゃぼん玉桜のはなびらよけながら 兵庫県 伊丹市立稲野小学校 6年 西田 七菜
これら、高学年の部の優秀賞作品もすてきな言葉の絵になっています。
さて、この第9回佛教大学小学生俳句大賞には、全国から4万近い作品が寄せられました。各地に応募の常連校もでき、このコンテストへの応募を学校行事にしてくださっています。また、自分で何通ものハガキを出してくれる熱心な小学生もいます。言葉を楽しむ年一回の場として、このコンテストはすっかり定着したと思います。佛教大学広報課を中心にしたこの行事を支える体制も整ってきました。
来年は記念すべき10回目を迎えます。さらに楽しい五七五の言葉が集まってくることを期待します。
坪内稔典(選考委員代表・佛教大学名誉教授)