○佛教大学「人を対象とする研究」倫理規程

平成21年4月1日

(目的)

第1条 本規程は,「佛教大学研究倫理指針」に定めることに加え,特に,人を直接の対象とし,個人からその人の行動,環境,心身等に関する情報,データ等を収集・採取して行なわれる研究(以下「人を対象とする研究」という。)を遂行する上で求められる研究者の行動,態度の倫理的規準(第1章)および研究計画等の審査に関する事項(第2章)について定める。

第1章 「人を対象とする研究」倫理規準

(研究の基本)

第2条 人を対象とする研究を行なう者は,生命の尊厳および個人の尊厳を重んじ,科学的および社会的に妥当な方法・手段で,その研究を遂行しなければならない。特に医学的またはそれに準ずる研究を行なう者は,世界医師会が定める「ヘルシンキ宣言(ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則)」の趣旨にそって遂行しなければならない。

2 人を対象とする研究とは,人から提供を受けた個人情報を伴うデータを用いた研究のことであり,例えば,個人情報を伴うアンケート調査・インタビュー調査などの手法を用いた研究も含まれる。

3 人を対象とする研究を行なう者は,国が定めた基準,当該法令および所轄庁の告示,指針,例えば厚生労働省が示す「臨床研究に関する倫理指針」や,文部科学省・厚生労働省が示す「疫学研究に関する倫理指針」等を遵守しなければならない。

4 研究者が,個人の情報,データ等の収集・採取を行なう場合,安心・安全な方法で行ない,提供者の身体的,精神的負担および苦痛を最小限にするよう努めなければならない。

5 研究者が,未成年者を対象とした研究を行なう場合,親権者等が研究参加の同意を代行するのが基本であるが,その能力と成熟度に従って意思を確認し,未成年者の権利を尊重するよう努めなければならない。

(定義)

第3条 本規準における,個人から収集・採取する「人の行動,環境,心身等に関する情報,データ等」(以下「個人の情報,データ等」という。)とは,個人の思考,行動,個人の地域・環境,個人の履歴,身体等に係る情報,データおよび生物学(生理学)的情報をいう。

2 本規準における「研究者」とは,本学において,研究活動に従事し,人を対象とする研究を行なう職員および学生をいう。

3 本規準における「提供者」とは,研究のため個人の情報,データ等を提供する者をいう。

(研究者の説明責任)

第4条 研究者が,個人の情報,データ等を収集・採取するときは,研究者は,提供者に対して研究目的,研究方法,研究成果の発表方法等,研究計画について分りやすく説明しなければならない。

2 研究者は,個人の情報,データ等を収集・採取するにあたり,提供者に対し何らかの身体的,精神的負担もしくは苦痛を伴うことが予見される場合,その予見される状況を,できるだけわかりやすく説明しなければならない。

(インフォームド・コンセント)

第5条 研究者が,個人の情報,データ等を収集・採取するときは,予め提供者の同意を得ることを原則とする。

2 「提供者の同意」には,個人の情報,データ等の取扱いおよび発表の方法等にかかわる事項を含むものとする。

3 研究者は,提供者から当該個人の情報,データ等の開示を求められたときは,これを開示しなければならない。

4 研究者は,提供者が同意する能力がないと判断される場合は,本人に代わる者から同意を得なければならない。

5 提供者からの同意は,原則として文書でもって行なうものとし,研究者は,その記録を適切な期間保管しなければならない。

6 研究者は,提供者が同意を撤回したときは,その情報,データ等を廃棄しなければならない。

(第三者への委託)

第6条 研究者が第三者に委託して,個人の情報,データ等を収集する場合は,本規準の趣旨に則った契約を交わして行なわなければならない。

2 研究者は,必要あるときは,研究目的等を提供者に直接説明しなければならない。

(授業等における収集・採取)

第7条 教員が,授業,演習,実技,実験・実習等の過程において,研究のために受講生から個人の情報,データ等の提供を求めるときは,予め受講生の同意を得ることを原則とする。

2 教員は,個人の情報,データ等の提供の有無により,受講生に成績評価において不利益を与えてはならない。

(学生の研究)

第8条 学生が卒業論文や修士論文,博士論文の作成過程等において,人を対象とする研究を行なう場合は,指導教員の指導の下に,本規程を遵守するものとする。

(謝礼の提供)

第9条 研究者が提供者に対し,謝礼として金品を提供する場合,その金品は社会通念上,妥当な範囲で定めるものとし,その受け払いについて適切な管理をしなければならない。

(規準の運用)

第10条 本規準に定めることの他に,研究分野により個別の規準・定義の必要がある場合は,「佛教大学研究倫理指針」および本規程の精神に則り,学部ごとに内規・細則等を定めることができる。

第2章 「人を対象とする研究」倫理審査委員会規定

(委員会の設置)

第11条 第1章において定めた「人を対象とする研究」倫理規準の実施にあたり,倫理審査委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

2 委員会は,研究者からの申請に基き,研究の実施計画および出版公表計画等についての審査を行なうとともに,本規程の趣旨に沿った啓発活動などの企画・立案を行なう。

(審査の基準)

第12条 審査の基準は,第1章「人を対象とする倫理規準」ならびに一般的に妥当と認められる倫理的規範に基くほか,次の各号に掲げる基準によるものとする。

(1) 佛教大学研究倫理指針

(2) 佛教大学個人情報保護に関する指針および佛教大学個人情報の保護に関する規程

(3) 関連する法令,所轄庁の指針等

(委員会の構成)

第13条 委員会は,学長が委嘱する次の者で構成する。

(1) 副学長

(2) 各学部選出教員 7名

(3) 研究推進機構長 1名

(4) 研究推進部長 1名

(5) 学術支援課長 1名

2 その他必要に応じて学内・学外の専門知識を有する者を会議に出席させ,その意見を聞くことができる。

3 また,必要ならば本委員会の下に,学内・学外の専門知識を有する者からなる小委員会を設置し,その意見を聞くことができる。その運用については委員会で定める。

(任期)

第14条 前条第1項第1号および第3号第4号第5号の委員の任期は,その職の期間とする。

2 前条第1項第2号の委員の任期は2年とする。但し,再任を妨げない。

(議事)

第15条 委員会に委員長および副委員長を置く。委員長は副学長をこれにあてる。副委員長は,委員の互選とする。

2 委員会は,委員長が招集し,議長となる。委員長に事故があるときおよびその審査を申請したときは,副委員長がその職務を代行する。

3 委員会は,委員の3分の2以上の出席で成立し,議事は委員の過半数で決する。但し,可否同数の場合は,委員長が決する。

4 委員でその審査を申請した者は,当該研究計画等に係る議事に参加することはできない。

(審査の申請)

第16条 研究計画等の審査を申請する者(以下「申請者」という。)は,別に定める「研究計画等審査申請書」を,所属する学部長の許可を得た上で,教員および大学院生は研究開始1ヵ月前までに,学部生の場合は2週間前までに,委員会に申請する。

2 卒業論文に係る研究については,指導教員の指導の下に,学生もしくは指導教員が申請を行なう。但し,保健医療技術学部は指導教員が申請を行なう。

3 修士論文,博士論文に係る研究については,指導教員の指導の下に,学生が申請を行なう。

4 授業の枠内における研究については,原則として,科目担当者が申請を行なう。

5 海外で現地人を対象に現地語で情報・データを収集する研究計画については,原則として,現地の機関(大学・病院等)で倫理審査の申請をすることとする。但し,現地で倫理審査を受けられない場合,本学での申請を認める。その際には,日本語で作成された申請書類(説明書・同意書・アンケート用紙・インタビュー内容等(以下「添付書類」という)を含む)をもって審査し,審査結果が承認の場合,これらの添付書類が現地語に忠実に翻訳された上で,現地研究が遂行されること,現地語で作成した上記の添付書類を提出することを条件とするもの(条件付承認)とする。

(審査方法)

第17条 審査の方法には,書面審査と合議審査がある。

2 学部生の申請については,本委員会の承認を得た各学部の内規に基く学部内書面審査をもってこれを行なうことができる。

3 委員会は,必要あるときは,申請者を当該研究計画等の審査を行なう会議に出席させ,申請内容等の説明を求めることができる。

4 委員会は,審査の経過を勘案して,申請者に対して研究計画等の変更を勧告することができる。

5 審査の判定は,次に掲げる表示により行なう。

(1) 承認

(2) 条件付承認

(3) 不承認

(4) 非該当

(審査)

第18条 委員長は,申請された研究内容に応じて,委員を含む教育職員の中から主査1名および副査2名を指名して,研究計画等審査申請書に基く書面により審査を行なう。

2 書面審査の判定は,主査および副査の合意で行ない,判定結果が条件付承認または不承認の場合には,書面をもってその理由を提出するものとする。

3 委員長は,判定結果を委員に通知し,稟議により承認を求める。但し,本委員会の承認を得た各学部の内規に基く学部内書面審査についてはこの限りではない。

4 前項の判定結果は,委員の過半数の承認をもって確定する。

5 前項に定める承認が得られなかった場合および書面審査における判定が,第17条第4項に規定する「不承認」の場合,委員長は,当該申請を合議審査に付し,判定を行なうものとする。

6 合議審査の委員会の議事は,第15条の規定により行なう。

(審査の結果)

第19条 委員長は,研究計画等の審議の結果を,別に定める審査結果通知書により,速やかに申請者に通知する。

2 審査の結果通知には,その理由を付記する。

3 また,場合によっては,研究計画の修正・変更等について助言することができる。

4 審議の経過および結果は,文書でもって記録,保存し,委員長が必要と認めたときは公表することができる。

(研究計画等の変更)

第20条 申請者が,第17条第4項第1号の判定を受けた研究計画等において,第12条各号に定める倫理規準等にかかわる事項の変更をしようとするときは,その変更について委員会の承認を得なければならない。

2 前項の「委員会の承認」の方法については,第17条の規定を準用する。

(再審査)

第21条 審査の判定に異議のある申請者は,異議の根拠となる資料を添えて,委員会に再審査の申請をすることができる。

(委員会の運営)

第22条 本規程に定めるもののほか,委員会の運営に関する必要な事項については,委員会の議を経て,別に定めることができる。

(事務)

第23条 委員会の事務は,研究推進部学術支援課が行なう。

(改廃)

第24条 本規程の改廃は,委員会および各学部教授会の議を経て,大学評議会において決定する。

第1条 本規程は,平成21年4月1日から施行する。

第2条 本規程は,平成22年4月1日から改正施行する。

第3条 本規程は,平成22年5月18日から改正施行する。

第4条 本規程は,平成23年4月1日から改正施行する。

第5条 本規程は,平成24年4月1日から改正施行する。

第6条 本規程は,平成25年4月1日から改正施行する。

第7条 本規程は,平成27年4月1日から改正施行する。

第8条 本規程は,令和4年4月1日から改正施行する。

佛教大学「人を対象とする研究」倫理規程

平成21年4月1日 種別なし

(令和4年4月1日施行)

体系情報
第4編
沿革情報
平成21年4月1日 種別なし
平成22年4月1日 種別なし
平成22年5月18日 種別なし
平成23年4月1日 種別なし
平成24年4月1日 種別なし
平成25年4月1日 種別なし
平成27年4月1日 種別なし
令和4年4月1日 種別なし