大学紹介

2015年11月

人間という舟を得た上は  それで苦の大河を渡れ

シャーンティデーヴァ『入菩提行論』

解説 / 仏教学部教授 藤堂 俊英

 仏教では「身と心」から成る私たちヒトを絵で描く場合、「舟と人」で表現します。「身」が「舟」、「心」が「人」です。ゴータマ・ブッダが伝道に歩かれた地域は主にガンジス川の中流域でしたから、教えを伝える使命のために、たびたび川を渡られたことでしょう。
 時の流れは東洋においても西洋においても、一瞬も留まることのない川の流れに譬えられます。仏教では憂悲苦悩に翻弄される日々を川の流れに譬えてきました。私たちの国では春分と秋分の日の前後三日、彼岸会という法会がいとなまれます。平安時代の初め頃から朝廷で行われ、江戸時代には年中行事化していました。
 仏教で「彼岸」といえば、苦しみの大河を乗り越えた安穏の世界を意味します。「舟と人」で表される受け難き「人の身」を得た上は、お互いが生み出す縁の浮力を駆使して、共に苦の大河を渡る。仏教はそこにこの世に生を受けた者の使命をみるのです。

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佛教大学宗教教育センター
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