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第6回研究会開催報告(法然仏教の多角的研究)

2017年12月11日

日時:2017年12月11日(月曜)14:30~16:00
会場:紫野キャンパス 鹿渓館1階 第1会議室
参加者:18名
        
概 要
<研究発表>
発表者:服部 純啓(学術研究員)
テーマ:『決定往生集』の研究
 
はじめに
珍海は、我が国の浄土教思想発展の流れの中で重要な位置を占め、源信から法然へと続く思想の媒介役とされている。しかしその重要性に反して、珍海の研究は、源信・永観・法然等の諸師と比較して多くない。今回は『決定往生集』等について、先行研究の整理を行い、筆者自身の研究の現状を報告したい。
 
一、珍海および『決定往生集』研究史
 近代における先行業績を整理すると(一)画僧としての珍海、(二)『決定往生集』の思想、(三)『決定往生集』の書誌、(四)三論教義と珍海との関係を中心に研究が進められてきた。『決定往生集』の思想研究のテーマに限定すると(一)菩提心・念仏観、(二)浄土観、(三)信心観が挙げられる。この中、菩提心・念仏観を扱う研究には次のような共通点が見いだせる。(一)扱う資料がほぼ第五修因決定に限られる。(二)珍海は源信・永観から法然に至る浄土教の流れの中での媒介者であるとする。(三)称名念仏を往生の正業とするのは菩提心が正因だからであるとする。
 以上のように、第五「修因決定」以外の箇所は、あまり扱われていないのが現状である。
 
二、書誌研究
 『決定往生集』の諸本に関しては、坂上雅翁氏によって次のような写本、版本、活字本が紹介されている。
【写本】①宝寿院本(高野山宝寿院所蔵)一一四二年書写、②禅林寺本(禅林寺永観堂所蔵、書写年不明、③藤堂本(藤堂祐範氏所蔵)一二五〇年書写。【版本】①寛文五年(一六六五)版(龍谷大学所蔵)、②宝永七年(一七一〇)版(京都大学所蔵、寛文五年版と同じ版木で刷られた)、③元禄九年(一六九二)版(奈良県立図書情報館所蔵)。【活字本】①『大正新脩大蔵經』第八四巻、②『浄土宗全書』第一五巻(底本寛文五年版)。
 このうち藤堂本、禅林寺本に関しては坂上氏により、影印、翻刻等がなされているが、珍海存命中の書写に係る宝寿院本等、これまで公開されていない文献もあり、研究の余地が残されている。
 
三、研究の現状報告
 筆者は現在、坂上氏が高く評価している元禄九年版を底本と定め、書き下し、現代語訳、典拠調査を実施している。今後は、第一依報決定から順に内容を吟味し、『決定往生集』全体の思想の解明を目指す。
 
 
<各班進捗状況報告>
【第一部門 法然文献班 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対照本作成】
発表者:角野玄樹嘱託研究員
前回から2回の研究会を開催。本庄訳出部分を検討中。
 
【第一部門 法然文献班 桑門秀我『選択本願念仏集講義』現代語訳】
発表者:本庄良文研究員
本庄担当16巻と上野担当10巻を紀要に投稿したことを報告。
 
【第一部門 『逆修説法』班 『逆修説法』諸本対照本作成、古本『漢語燈録』中心とする本文批判】
発表者:(伊藤真宏研究員)
前回の全体会から日が近かったため、研究会を開催せず。
 
【第二部門 『摧邪輪』班 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳】
発表者:米澤実江子嘱託研究員
進展なし、と報告。巻中を検討中。年内に巻中にめどをつける予定。
 
【第二部門 門下班 門下研究目録作成】
発表者:伊藤茂樹嘱託研究員
進展なしと報告。年内にある程度進めると報告。
 
【第二部門 『往生要集鈔』関係班 『往生要集鈔』『往生要集義記』諸本対照・訓読・現代語訳】
発表者:南宏信嘱託研究員
諸本の悉皆調査進展中。早稲田大蔵の『往生要集義記』を閲覧。
 
【第二部門 中国関係班 道綽『安楽集』解読・現代語訳・文献批判】
発表者:小川法道学術研究員
前回から1回の研究会を開催。順調に進展している旨を報告。
 
【第三部門 伝宗伝戒班 『真葛伝語』諸本蒐集および教理的根拠の探索】
発表者:高津晴生嘱託研究員
前回の全体会から日が近かったため、研究会を開催せず。明日開催予定。
 

法然仏教学研究センター