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第5回研究会開催報告(法然仏教の多角的研究)

2017年11月27日

日時:2017年11月27日(月曜)14:30~16:00
会場:紫野キャンパス 鹿渓館1階 第1会議室
参加者:18名
        
概 要
<研究発表>
発表者:小川 法道(学術研究員)
テーマ:延年転寿の思想史
 
 不老長寿を願うのは、世界共通の願いであるのだが、特に顕著なのが中国であろう。そのことはサンスクリットのAmitābhaを「無量光」と訳すべき所を「無量寿」と訳していることからも窺えるのである。そのような寿命を延ばすことに関して「延年転寿」という語がある。「延年転寿」は自己の力または仏の加護によって、この世における寿命を延ばすはたらきがある。この「延年転寿」は業思想と関連の深い思想であり、浄土教の中で業がどのように変遷したかを知る手がかりとなり得る。この「延年転寿」という語は善導が使用するのであるが、善導の師匠である道綽は「延年益寿」という。この「転」と「益」の語によってどのような違いがあるのかについて考察する。
中国の道教の代表的な著書『抱朴子』では、寿命の長短を左右する神が存在し、寿命が増える方を益算といい、逆に減る方を奪算というのである。『抱朴子』では「延年益寿」という語を使って、寿命を増やす功能があることを表いていた。その思想が仏教の中にも取り入れられ、『四天王経』等の経典が出て来るのである。しかしインドのアビダルマの中でも「留捨寿行」と説いて、仏また阿羅漢の位の者ならば、寿命を自由に操ることができると説くのである。また『法華経』では、菩薩が衆生に『法華経』を広めるために寿命を延ばすことが説かれていて、菩薩精神を表していた。よって寿命を延ばすことのできる功能は中国的なものが多いと考えられるけれども、一概に中国的なものと決めつけるのではなく、インド仏教の中にも求められることを考慮しなければならないのである。
 また「益」と「転」の違いについては、道綽は『抱朴子』や大乗『涅槃経』から「延年益寿」と使うのであり、「延年益寿」が仏教よりも中国的であることを指摘し、また善導は師の道綽の影響を受けつつも『大智度論』の「転寿」の語を使って「延年転寿」と表現し、転換という仏教教理を踏まえた上での使用であると指摘した。
 
<各班進捗状況報告>
【第一部門 法然文献班 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対照本作成】
発表者:角野玄樹嘱託研究員
前回から三回の研究会を開催。『和語燈録』本庄訳を検討中と報告。
 
【第一部門 法然文献班 桑門秀我『選択本願念仏集講義』現代語訳】
発表者:本庄良文研究員
提出原稿を本庄と上野で互いにチェックしあっている旨報告。
 
【第一部門 『逆修説法』班 『逆修説法』諸本対照本作成、古本『漢語燈録』中心とする本文批判】
発表者:岩谷隆法嘱託研究員
前回から一回の研究会を開催。三七日前半部分の見直し作業中と報告。
 
【第二部門 『摧邪輪』班 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳】
発表者:伊藤真宏研究員
『摧邪輪』訳注作業、巻中の現代語訳を再考(50丁表)。
 
【第二部門 門下班 門下研究目録作成】
発表者:伊藤真宏研究員
データ入力作業と入力済みの点検を進行中と報告。
 
【第二部門 『往生要集鈔』関係班 『往生要集鈔』『往生要集義記』諸本対照・訓読・現代語訳】
発表者:南宏信嘱託研究員
古写経を、国際仏教大学院大学の日本古写経研究所にて拝観。データ入力作業終了を報告。
 
【第二部門 中国関係班 道綽『安楽集』解読・現代語訳・文献批判】
発表者:小川法道学術研究員
前回から三回の研究会を開催。第一大門の見直しと第五大門の訳注作業。
 
【第三部門 伝宗伝戒班 『真葛伝語』諸本蒐集および教理的根拠の探索】
発表者:高津晴生嘱託研究員
前回から一回の研究会を開催。「要偈」「九箇条」の推敲と現代語訳の見直し作業中と報告。

法然仏教学研究センター