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第4回研究会開催報告(法然仏教の多角的研究)

2017年10月16日

日時:2017年10月16日(月曜)14:30~16:00
会場:紫野キャンパス 鹿渓館1階 第1会議室
参加者:24名
        
概 要
<研究発表>
発表者:大谷 旭充(嘱託研究員)
テーマ:『三部経大意』至誠心釈について
 
 現在、『三部経大意』には、金沢文庫蔵建長六年(一二五四)写本、専修寺蔵正嘉二年(一二五八)写本、龍谷大学蔵元亨元年(一三二一)開版『和語燈録』所収『三部経釈』、の三点の古写本・古版本が知られている。特に至誠心釈に関して、金沢文庫本と専修寺本には『和語燈録』所収『三部経釈』にはない文章があり、これまで研究者の興味を引いてきた。
 しかし、未だ『三部経大意』至誠心釈の特徴・構造が十分に理解されているとはいえず、全体的に再検討する余地がある。
 先行研究では、『黒谷上人語燈録』や『選択集』を中心とした法然遺文に説かれる至誠心釈と『三部経大意』至誠心釈とを比較し、『三部経大意』至誠心釈は「特異である」・「他の法然遺文にはみられない表現がある」といった評価・認識がなされてきた。すなわち、表現を中心とした分類学的考察、その評価に基づく思想分析である。
 一方、本論考では、他の資料との比較を控え、『三部経大意』至誠心釈のみから、そこに説かれる構造を明らかにする。
その結果、①『三部経大意』至誠心釈には明確な理論・構造があることを明らかにした。その上で、②他の法然遺文におけるすべての至誠心釈は、『三部経大意』至誠心釈の理論の上に成り立っており、③廬山寺本『選択集』第八章引用段善導至誠心釈208文字の欠落は『三部経大意』至誠心釈に説かれる理論に基づいた省略であるという一考を提示した。
本論考は、『三部経大意』至誠心釈のみに注目したものであり、『三部経大意』という文献自体を扱ったものではない。しかし『三部経大意』に説かれる思想が『選択集』に至るまで大きな影響を与えているという一つの事例を示したことにより、先行研究を補う形で『三部経大意』の文献価値・位置づけに影響を与えるものである。
 今後の課題として、①『三部経大意』という文献の位置づけ、②法然三心釈の成立が挙げられる。本論考の成果は、『三部経大意』・『逆修説法』・廬山寺本『選択集』・『選択集』を中心に、『黒谷上人語燈明録』を補足的に用いる、法然研究スタイル確立への足掛かりとなる。
 
<各班進捗状況報告>
【第一部門 法然文献班 元亨版『和語燈録』本文・現代語訳対照本作成】
発表者:角野玄樹嘱託研究員
『和語燈録』訳注作業、本庄訳を検討中。前回より六回の研究会を開催。
 
【第一部門 法然文献班 桑門秀我『選択本願念仏集講義』現代語訳】
発表者:本庄良文研究員
上野氏10章発表予定、下訳完成。本庄、16章作業難渋と報告。
 
【第一部門 『逆修説法』班 『逆修説法』諸本対照本作成、古本『漢語燈録』中心とする本文批判】
発表者:齋藤蒙光
前回から三回の研究会を開催。「二七日」までのチェックを終了。「三七日」に入ったと報告。
 
【第二部門 『摧邪輪』班 明恵『摧邪輪』寛永版訓読・現代語訳】
発表者:米澤実江子嘱託研究員
『摧邪輪』訳注作業、紀要投稿へ向け内容を検討中(45丁を再検討)。
 
【第二部門 門下班 門下研究目録作成】
発表者:伊藤茂樹嘱託研究員
当初の作業日程より遅れているが、現在入力済みの部分の確認作業を行なっていると報
告。
 
【第二部門 『往生要集鈔』関係班 『往生要集鈔』『往生要集義記』諸本対照・訓読・現代語訳】
発表者:南宏信嘱託研究員
引き続き出典調査と対照表作成の作業を継続中と報告。
 
【第二部門 中国関係班 道綽『安楽集』解読・現代語訳・文献批判】
発表者:加藤弘孝嘱託研究員
前回より五回の研究会を開催。出版に向けた、第一大門の見直し作業中と報告。
 
【第三部門 伝宗伝戒班 『真葛伝語』諸本蒐集および教理的根拠の探索】
発表者:高津晴生嘱託研究員
前回より六回の研究会を開催。「要偈九箇条」の推敲と現代語訳の見直し作業中と報告。

法然仏教学研究センター