トップ 学界報告→バンクーバーIATS報告

バンクーバー国際チベット学会報告

 

バンクーバーで第12回の国際チベット学会 International Association of Tibetan Studies が開催されました

 会場となったUBC(ブリティッシュコロンヴィア大学)はカナダ国内でも最大の規模を誇る大学の一つで、主だった学部はほぼ完備されている総合大学である。キャンパスは広く緑も多く羨ましい限りだ。今回開催された学術大会のホストはツェリンシャキャ教授、同大学のアジア研究所に所属するチベット人研究者である。今回で12回目となったこの国際チベット学会 International Association of TibetanStudies (IATS) の現在の会長を務めるのはオックスフォード大学教授のチャールスランブル氏、3年あるいは4年ごとに学術大会が開催され今回の大会参加学者も300名を超える、チベット関係領域では最大の学会である。筆者は今回で6回目の参加である。会議は1週間に渡って行われたが、朝は比較的大きな会場を使って総合部会が行われ、11時から1時までと2時から5時までは少人数に別れ、それぞれのテーマ毎に発表と議論が重ねられた。この学会の最大の特徴は、参加研究者が政治的立場を超えて集う点である。亡命チベット人研究者やその亡命チベット人研究者から学的訓練を受けた欧米や日本の研究者とともに中国国内のチベット人学者や漢人研究者がともに膝を交えて討究する。また、使用言語も英・独・仏語のみならず公式言語としてチベット語が認められている。チベット語で発表する外国人研究者(大谷大学の三宅先生もそのひとり)さえいる。
 筆者が発表(ウランバートル写本大蔵経中の『阿弥陀経』写本について)した部会は「大蔵経研究」と題される部会であったが、このような仏教研究や歴史研究のみならず人類学や言語学あるいは社会学の分野の研究もあり多彩である。日本人研究者も年々多くなってきた。今回は東京大学の斉藤明先生や神戸市外大の武内紹人先生、身延山大学の望月海慧先生を筆頭に、ボン教などにも詳しい京都大学の新鋭である熊谷先生、敦煌文書に詳しい岩尾先生や、仏教認識論の専門家として注目される根本先生など、ここに書ききれない程多くの旬の学者さん方も参加して発表しておられた。いずれも筆者が30年前に国際学会デヴュをした当時と比べると比較にならないほど内容のレヴェルも質疑応答の外国語能力も高い。最後の総会で議論された新しい学会運営委員として神戸市外大の武内紹人先生が選出された。誠に喜ばしい限りである。
 次回の開催国は最大有力候補地としてバンコク、補欠候補地としてチューリッヒ、さらに次々候補地としてヴァージニアが名乗りをあげている。