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新刊書紹介

2002ニュースな生活

■新刊書紹介(小野田の論文も含まれています)

【2002-7-31】『Impressions of Bhutan and Tibetan Art』(Tibetan Studies III)

PIATS 2000シリーズの第3巻目 Impressions of Bhutan and Tibetan Art が出版されました。2000年にオランダのライデン大学で開催された第9回国際チベット学会学術大会での研究発表を収めた紀要の中の1册です。紀要は全部で10册のシリーズとして刊行されます。3巻までが様々なテーマで発表された論文集、第4巻から第10巻までは、次のような特定のテーマで行なわれたパネルの成果になってます。

『Impressions of Bhutan and Tibetan Art』

vol.4: Epstein「Khams pa Histories」
vol.5: Huber「Amdo Tibetans in Transition」
vol.6: Beckwith「Medieval Tibeto-Burman Languages」
vol.7: Klimburg-Salter & Allinger「Buddhist Art and Tibetan Patronage from the Ninth to Fourteenth Centuries」
vol.8: Klieger「Tibet, Seld, and The Tibetan Diaspora」
vol.9: Buffetrille & Diemberger「Territory and Identity in Tibet and the Himalaya」
vol.10: Eimer & Germano「The Many Canons of Tibetan Buddhism」となってます。本の題名見てるだけでわくわくしてくるでしょう?
今回紹介するこの第3巻には小野田の論文「Some Inconsistencies of Colour Composition Techniques in Tibet」も含まれています。

Edited by J.Ardussi & H.Blezer, Impressions of Bhutan and Tibetan Art, PIATS 2000-3, BRILL, Leiden 2002

■ROM紹介

【2002-9-25】龍谷大学図書館所蔵大谷探検隊収集梵文写本 (Sanskrit Manuscripts in the Otani Collection at Ryukoku University Library) /龍谷大学仏教文化研究所編, 2001.(非売品)

 龍谷大学の神子上恵生先生が代表となって行なわれていた共同研究「サンスクリット仏教写本の文献学的研究」の成果の一部であるCDロムによる画像データが発表されました。創価大学の湯山明先生や佛教大学の松田和信先生という写本のプロも共同研究でメンバーに入っているのですが、CDロム化の主力メンバーは若原雄昭さんです。大谷探検隊といっても漠然としたイメージでは中央アジアだけみたいですが、インドやネパールやチベットさらにヨーロッパの調査も大谷探検隊と呼べるものです。このCDロムに入っている写本のほとんどはネパール系写本で1915年から1923年の間に収集されたものということです。大雲経や悲華経、無量寿経などがありますが、未同定の断簡も画像データとして入っていますので、さあ、我こそはと思っている学生諸君は挑戦してみてください。意外とあっさり同定出来たりするものです。

大谷探検隊

■新刊書紹介

【2002-9-25】『蒙古文<甘珠爾>佛像大全』/内蒙古人民出版社

 チベット仏教系のカンギュル(経部)テンギュル(論部)つまり日本風にいうと「大蔵経」は横長の紙に書き写されていたり(筆写本)あるいは版木を使って版画のように印刷されていたり(版本)します。いずれにせよその出版の過程で当然、挿し絵が発想されてきます。仏画師にとっては自分の力量が発揮できる絶好のスペースなのです。版画はバリエーションに富んだ密教の諸尊像や歴史上の人物像のイメージが固定されるための最も重要な媒体なのです。この分野で特に有名なのはツルティムリンチェンによって編纂されたデルゲ版テンギュルの各巻の表紙を描いた天才絵師アンペルが有名です。今回紹介する本はモンゴルの大蔵経経部の挿し絵を集めたもので、この本の特徴は各尊像の名前が蒙古字やチベット文字や漢字と共にその発音がリストアップされている点です。僕のような「知ったか」学者にはもってこいの本です。

『 蒙古文<甘珠爾>佛像大全 』

■新刊書紹介

【2002-9-6】『曼荼羅大全 -- チベット仏教の神秘 --』マルティン・ブラウエン著/森雅秀訳(東洋書林)本体 4,500円

 著者のMartin Brauen さんに就いては一度紹介済みですが、古くからの知り合いで、スイスのチューリッヒ大学付属の民族学博物館の主事をしている人物。先年、京都で会った時に日本語の名刺を貰ってびっくりしました。それ位のアジア通です。けど学者然としてなくてとっても気さくな人です。訳者の森先生も古くからの付き合いでこれまたとっても素敵な人物、この二人のコラボレーションであの隠れた名著 DasMandala が翻訳されました。曼荼羅研究者の間ではこの本は有名な本だったのです。この本の先ず第一の特徴はなんと言っても分かりやすい図表でしょう。宇宙と人間と曼荼羅の関係はこの本を見ればよく分かります。
 ISBN4-88721-568-1

『曼荼羅大全 -- チベット仏教の神秘 --』

■新刊書紹介

【2002-9-6】廖本聖著『實用西藏語文法』(中華佛學研究所論叢 32)

 中国語によって著述されたチベット語の文法書は現在までに様々出版されてきましたが何れもどこかに片寄りがありました。つまり、現代語あるいは口語に重点を置き過ぎて文語あるいは古典文法が記述されなかったり、古典文語が扱われてもその最も中心をなす仏教用語や仏教文献の中の用例がまったく記述されなかったりというようにです。今回台北から出版された『實用西藏語文法』ではその点が配慮され、現代の口語を入り口としてチベット語を使って仏教を学びたい学生を想定して著述されているようです。本体である第一分冊と、付録を集めた第二分冊との2册組みで出版されてますが、この第二分冊の「付録及検索手册」がけっこうおもしろい。チベット文字ローマ字転写の対照表や辞書の配列順序表、カンギュルやテンギュルの一覧や検索方法、チベット語文法に関するビブリオや研究史などがインデックスと共に収められていて初学者にはここを眺めるだけで為になる内容です。廖さんとは台北に行った時お友だちになりました。優しくて控えめな人物でした。
 ISBN957-598-217-7

『實用西藏語文法』