第15回佛教大学小学生俳句大賞は、日本全国の小学生の皆さんや海外から、23,003句(低学年の部7,560句、高学年の部15,443句)の作品をご応募いただきました。また、団体応募校数は235校でした。たくさんのご応募、ありがとうございました。
厳正な審査により選ばれた作品を発表いたします。
選考委員講評
575の短い表現は、ときどき、不思議なことを引き起こします。作者が考えてはいなかったことを伝えてしまうのです。つまり、読者が作者の思いを越えて鑑賞する、ということが起こります。たとえば次の句はどうでしょう。
海のよう心がゆれるいわし雲 伊藤 仁那
低学年の部の最優秀賞作品です。「海のような心」は広い大きな心を想像します。あるいは、その逆に、白波が立つ荒れた海を想像するかも。「海のような心」は「ゆれる」に続いているので、こっちの荒れた心を想像する人が多いかも。でも、最後に「いわし雲」が登場して、この海は荒れてはおらず、空にいわし雲の広がった明るい秋空だということになります。「心」はいわし雲の下の海そのもののように静かにゆれて広がっているのです。心のその広がりに私は感動します。
さて、この句の作者の伊藤さん、私の鑑賞はあなたが思っていたことと重なっていますか。どこかがずれていますか。もし、ずれているとしたら、そのずれが大事です。あなたの使った言葉が、思っていたこと以上のことを伝えたというか、言葉の力を発揮しているからです。
約分は半そでの気分夏近し 佐々木 瑞姫
これは高学年の部の最優秀賞作品ですが、「約分は半そでの気分」が読者にいろんな想像を誘うと思います。読者のなかには、「どうして約分が半そでの気分なんだよ。分からないよ」という人もいそう。でも、私たち選考委員はなんとなく分かる気がしました。約分をして簡単というか数字をシンプルにする感じは、夏の近いころの半そでの気持ちよさに通じている、と思ったのです。そして、約分という算数の言葉で季節感をとらえたことに感動しました。この「約分」という言葉は大人の俳句にはほとんど出てきません。
作者の佐々木さんは、上の私の読み方をどう思いますか。約分という言葉で季節をとらえた、という私の言い方は、もしかしたら作者には思いがけないことだったかも。
ところで、佐々木さん、今日の
と、やや感傷的になったところで、あらためてこの佛教大学小学生俳句大賞にかかわってくださった方々にお礼を申し上げます。句をとりまとめて応募してくれた各地の小学校の先生、予選を担当した方々、そして佛教大学の職員や学生のみなさん、ありがとうございました。もちろん、長く付き合ってくださった選者の先生方にも感謝です。小学生が言葉に親しみ言葉を楽しむ機会、それが佛教大学小学生俳句大賞でしたが、その機会を15年も持てたことをちょっと誇らしく思っています。
坪内稔典
(選考委員代表・佛教大学名誉教授)
佛教大学小学生俳句大賞 お祝いと感謝のメッセージ
選考委員
青砥 弘幸 | (佛教大学教育学部准教授) |
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伊藤 真宏 | (佛教大学学長) |
尾池 和夫 | (静岡県立大学学長・俳人協会名誉会員) |
坪内 稔典 | (佛教大学名誉教授) |
原田 敬一 | (佛教大学名誉教授) |
山本 純子 | (第55回H氏賞受賞の詩人・俳人) |
発表
2022年 3月中旬 |
入賞作品を佛教大学ホームページで発表いたします。 |
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賞
最優秀賞 | 図書カード1万円 (低学年の部1名・高学年の部1名) |
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優秀賞 | 図書カード5千円 (低学年の部4名・高学年の部4名) |
選考委員 特別賞 |
図書カード3千円 (低学年の部6名・高学年の部6名) |
入選 | 図書カード2千円 (低学年の部10名・高学年の部10名) |
佳作 | 記念品 (低学年の部100句程度・ 高学年の部100句程度) |
学校優秀賞 | 記念品(3校程度) |
表彰式
新型コロナウイルス感染拡大状況に鑑み、受賞者および関係者の健康、安全面を第一に考慮した結果、中止とさせていただきます。 |