第8回佛教大学小学生俳句大賞は、北は北海道、南は沖縄までの日本全国の小学生のみなさんや、海外からもご応募いただきました。
低学年の部16,466句、高学年の部25,455句、合計41,921句もの応募があり、数多くの小学校から団体応募をいただきました。
たくさんのご応募、本当にありがとうございました。
厳正な審査により選ばれた作品を発表させていただきます。
尾池 和夫 | (京都造形芸術大学学長・俳人協会評議員) |
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坪内 稔典 | (佛教大学文学部教授) |
原 清治 | (佛教大学教育学部長) |
原田 敬一 | (佛教大学歴史学部教授) |
山極 伸之 | (佛教大学長) |
山本 純子 | (第55回H氏賞受賞の詩人) |
日時 | 2015年3月15日(日曜) 14:00〜 佛教大学紫野キャンパスで開催 ※入賞者(佳作を除く)を表彰式にご招待いたします。 |
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最優秀賞 | 図書カード3万円 (低学年部門1名・高学年部門1名) |
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優秀賞 | 図書カード1万円 (低学年部門4名・高学年部門4名) |
選考委員 特別賞 |
図書カード5千円 (低学年部門6名・高学年部門6名) |
入選 | 図書カード3千円 (低学年部門10名・高学年部門10名) |
佳作 | 記念品 (低学年部門100句程度・高学年部門100句程度) |
学校優秀賞 | 希望に応じ本学教員による派遣授業(3校程度) ※学校と相談させていただきます。 |
今年も応募句が四万を超えました。その中からわずか二句の最優秀賞を選ぶのは至難のわざ、とっても迷います。と、書きましたが、実はその逆、実にスムーズに選んでいます。
どのように選考するか。まず予選をします。大学の周辺におられる俳人、大学院や学部で俳句を研究テーマにしている学生などを中心にして三日間にわたって全句に目を通します。三人が丸を付けた句、それが予選通過作品になります。つまり、どの句も三人が目を通しているわけです。
予選通過作品をあらかじめ読んだ選考委員は、よいと思う句をそれぞれ三〇句に絞って集まります。この三〇句が委員の間でかなり一致するのです。というわけで、低学年の最優秀句もすぐに決まりました。
低学年最優秀句
つばきカフェめじろの間ではやってる 京都府 京都教育大学附属京都小中学校 2年 福井 玲佳「つばきカフェ」という表現に選考員は感心しました。「◯◯カフェ」は今の時代の流行語ですが、それをさっそく取り込み、めじろたちを実に楽しく表現しました。めじろたち、蜜入り朝露でも飲みながら、地球の未来についての議論でもしている感じ。そういえば、小学生時代の私はめじろ取りに熱中していました。ヤマツバキの木におとりのめじろ籠をつるし、そのそばにトリモチを着けた枝を置きます。その枝にとまっためじろはくるっとひっくり返り、ぶらさがったかっこうになります。足にトリモチが着いて枝にひっついたのです。隠れていた私たちは大喜びで飛び出し、そのぶらさがっているめじろをとらえました。これ、半世紀以上も前の話、今ではめじろの捕獲は禁止されています。
高学年最優秀句
指揮する手夏の大三角形だ 宮城県 仙台市立吉成小学校 4年 横溝 麻志穂これは高学年の最優秀句です。指揮する両手のかたちが「夏の大三角形」のかたちだ、という句です。あるいは、指揮する手のかなたに夏の大三角形を思い描いたのでしょうか。どちらにしても、指揮と夏空を結びつけたところがとても新鮮です。あっ、夏の大三角形は指揮する手のかたちだ、と読んでもいいですね。
このコンテストへの応募は大半が学校を通してのものです。荷造りし発送する、あるいはメールに打ち込んで送信する、そういう教員の地味な仕事がこの俳句大賞を支えています。また、個人での応募にあたっては保護者のすすめが見受けられます。つまり、小学生とその周りの大人たちの言葉の結晶、それがこの俳句大賞だ、と言ってもよさそうです。
坪内稔典(選考委員代表・佛教大学文学部教授)