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公開講座のご案内(2018前期)

仏教を極める

仏教探求講座

業思想の種々相

私という存在のあり方、私が置かれている現在の境遇、そして私が生活しているこの世界、これらの成り立ちを説明しようとするのが仏教の業思想です。そしてこの業思想は、「私」が苦の境涯を果てしなくさまよう存在であると説きます。それはときに、覚えも知らぬ自らの過誤による決定論的因果法則の結果として、ときに、逃れられない運命の束縛として語られます。
しかし仏教は、この苦の境涯の無限ループ(生死)のただ中にある「私」に、新たな運命を指し示します。これが業思想の実践的側面です。業思想は時代や地域で様々に説かれてきました。この講座ではこうした業思想の種々相を探究します。

コーディネーター 佛教大学仏教学部教授 田山 令史

講座概要

受講料
1回 1,000円
定員
各回 150名(当日先着順)
開講予定
全12回 毎回金曜日 10:30~12:00

講師の緊急な都合などにより、日程、講義内容等を変更する場合があります。

講座詳細

テーマ 唯識思想(仏教の深層心理アーラヤ識縁起)と業(行為の因果論)
講師 森山 清徹 (佛教大学仏教学部教授)
内容 業(行為)には身体、言語、心で考えることによるものの三種があります。これらは、その時その場で終わるものではなく、以前の経験による影響が今に現われ、今現在の行いが先々の行為に影響を与えるといえましょう。これらは深層心理(アーラヤ識)に蓄積され刻印されることによると説明するのがアーラヤ識縁起です。今のいまから言動と心に思うことを少しずつ変化させれば、これから先の事は大きく変化し得ることになります。
開講日時 2018年4月13日(金曜)  10:30~12:00
テーマ 空(くう)の思想と業(行為の因果論)
講師 森山 清徹 (佛教大学仏教学部教授)
内容 空(くう)の思想とは、固定観点となっている思い込みや決めつけ、既成概念となっている考え方や先入観、これらの根拠となっているものは確かなものなのか、確かと思い、そう思わされ、刷り込まれてきたものではないか、このことを問い、決めつけと思い込みを払拭し新たな視点をもたらす考え方に通じさせるものかと思われます。固定観念や苦しみに染まらないことは、ちょうど美しい蓮華の華が泥水を養分として咲き、それでいて泥にも水にも染まらないこととして説かれます。
開講日時 2018年5月11日(金曜)  10:30~12:00
テーマ 大乗仏教の業思想(十善業道)と浄土教
講師 森山 清徹 (佛教大学仏教学部教授)
内容 『般若経』には身体的、言語的、精神的行為からなる十種の善なる業が、その逆に十種の悪なる業が説かれています。善なるあり方を勧めることに違いありませんが、他方、悪業を重ねるのも命あるものの性(さが)かもしれません。このことを大乗仏教、浄土教は深く追求しています。そして、罪業への許しのある、命の全うされる世界(極楽)を描写しています。これは夢物語ではなく、この世で一時の幸福すら味わうことのできなかった命の救いを極限まで求めていると思われます。
開講日時 2018年6月8日(金曜)  10:30~12:00
テーマ 「罪の自覚」の問題 ̶業思想のアポリア̶
講師 西本 明央 (佛教大学非常勤講師)
内容 過去世になした自らの善悪の行いが今世および来世の楽苦を決定する。仏教が教える業の因果則です。ただし、この法則は、そもそも善悪の何たるかを知らず、いま現に苦の境涯に立たされているにしても自らの罪業に気付くこともなく、よって出離の道のままならぬ者にとっては、文字通り救いのない道理でしかありません。自身による「気付き」(善悪の判断/罪の自覚)なく、盲目に苦の境涯を彷徨い続けなければならない者が救われる道理はあるのか。「一切善悪の凡夫」ないし「罪悪生死の凡夫」に光をあてようとする浄土教の業思想について考えます。
開講日時 2018年9月7日(金曜)  10:30~12:00
テーマ 「罪の忘却」について ̶業の繋縛を断ち切る可能性として̶
講師 西本 明央 (佛教大学非常勤講師)
内容 ̶̶「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お前のように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと」̶̶スコット・フィッツジェラルド『グレード・ギャツビー』(村上春樹訳、中央公論新社)の冒頭からの引用です。誰もが聖者(仏菩薩)のような「正しい知見」を持てるわけではありません。浄土の教えから、苦の境涯の無限ループ(生死)の中にあり、容易に業の繋縛から抜け出せない者のための「罪人の赦し」、「過去の忘却(amnesty)」の哲学を考えます。
開講日時 2018年9月14日(金曜)  10:30~12:00
テーマ 阿弥陀仏の「大願業力」について ̶業のオルタナティヴ̶
講師 西本 明央 (佛教大学非常勤講師)
内容 炎は空に上り、水は下り様に流れるというのは自然の法則、覆水盆に返らざるはエントロピー法則、「善因楽果、悪因苦果」は業の因果法則です。同じように、阿弥陀仏の本願である「(阿弥陀仏が)罪悪の衆生を救うと誓い、念仏の衆生を来迎摂取する」ということも自然の道理(法爾の道理)です。浄土教において語られる阿弥陀仏の大願業力について考えます。
開講日時 2018年9月21日(金曜)  10:30~12:00

開講日一覧

2018年 4月13日
唯識思想(仏教の深層心理アーラヤ識縁起)と業(行為の因果論)

講師: 森山 清徹 (佛教大学仏教学部教授)

  5月11日
空(くう)の思想と業(行為の因果論)

講師: 森山 清徹 (佛教大学仏教学部教授)

  6月8日
大乗仏教の業思想(十善業道)と浄土教

講師: 森山 清徹 (佛教大学仏教学部教授)

  9月7日
「罪の自覚」の問題 ̶業思想のアポリア̶

講師: 西本 明央 (佛教大学非常勤講師)

  9月14日
「罪の忘却」について ̶業の繋縛を断ち切る可能性として̶

講師: 西本 明央 (佛教大学非常勤講師)

  9月21日
阿弥陀仏の「大願業力」について ̶業のオルタナティヴ̶

講師: 西本 明央 (佛教大学非常勤講師)

  10月5日
器世界の業と仏・菩薩の業

講師: 藤堂 俊英 (佛教大学名誉教授)

  11月2日
殊勝なる業とは

講師: 藤堂 俊英 (佛教大学名誉教授)

  12月7日
身・語・意の三業をめぐる戒め

講師: 藤堂 俊英 (佛教大学名誉教授)

2019年 1月11日
日本における業思想の受容

講師: 南 宏信 (佛教大学仏教学部講師)

  2月15日
『往生要集』における業

講師: 南 宏信 (佛教大学仏教学部講師)

  3月8日
法然浄土教における業

講師: 南 宏信 (佛教大学仏教学部講師)