大学紹介

2017年5月

無知の知

ソクラテス

解説 / 文学部准教授 瀨邊 啓子

 紀元前399年春ソクラテスは刑死した。それはメレトスという人物により、国家の認めた神々を否定し、別物である鬼神の類を崇拝していると告訴されたことによる。ソクラテスは「神霊(ダイモン)からの合図」を子供時代から受け、その合図によりある種の「束縛」を受けていた。
 ソクラテスは自身が知恵ある者ではないと自覚していた。智者を訪れるも、その智者は智者ではなかった。そこでソクラテスは神だけが智者であり、人間の智は無に等しいという結論に至る。つまり人間にとっての最上の智は「無知の自覚」であり、人の智には大した価値はないということを自覚したものこそが知恵ある者なのであった。
 ソクラテスは人間の倫理的価値のさまざまな「本質」を問い続けた。それは善く生きるために倫理的価値の「何であるか」を正しく知ることを求めたものであった。ソクラテスの探求は人間が善く生きるために、真に大切なことを求めるものであった。

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