大学紹介

2017年3月

君子に三つの楽しみ有り

『孟子』「尽心」

解説 / 文学部教授 鵜飼 光昌

 孟子は、孔子よりほぼ百年のちの人である。
 孟子の母は、教育熱心だったらしい。孟子が小さいころ、家は墓の近くにあった。すると孟子が葬式のまねをして遊ぶ。これはいけないと思った母親は市場の近くに引っ越した。すると今度は孟子が売ったり買ったりの商いのまねをする。やはりいけないと思った母親は、学校の近くに引っ越した。すると孟子は、礼の講義や実践を目にして、自分も礼にかなった行いにつとめるようになったという(『列女伝』「孟母三遷」)。孟子らしいエピソードである。
 孟子は、君子には三つの楽しみがあるという。一つには、両親が健在で、兄弟みな仲がよいこと。二つには、天にも人にも恥じることのない行いをすること。三つには、天下の英才をえてこれを教育すること。この三つにまさる喜びはないのであって、天下の覇者となって権力をふるうことは君子の楽しみには入らないという。なるほどと思わせる、さわやかな孟子の言葉である。

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佛教大学宗教教育センター
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