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教育推進機構長あいさつ

佛教大学のFDの方向性

教育推進機構長
西川 利文

なぜFDを行うのか

2008年の義務化以来、各大学では積極的にFD活動に取り組んでおり、さらには教育関連の事業所が行うFD関係の企画も活発で、今やFD全盛時代の観があります。

FDとは、faculty developmentの略で、教員団の職能開発を意味するものです。その範囲は、(1)講義・演習・実習など授業を計画し教育目標に沿って運営する力、(2)学士課程教育にふさわしいカリキュラムを作り運営する力、(3)一人一人の学生の願いや能力に応じて学修や学生生活、キャリア形成について適切にアドバイスする力、(4)社会のなかで起こっている問題・課題と自らの研究を切り結んで、市民社会の問題解決や文化の向上に貢献する力、(5)教育・研究に責任をもつ大学運営に参画する力などを含むといわれます。つまり、大学の教育・社会活動・運営など、広範囲にわたる大学教員の能力を高めるための方策・活動がFDなのです。

このように教育のみならず多方面にわたる能力を開発することがFDの目的だとしても、その中核にあるのは、やはり大学教育の主役である学生の現状をしっかりと把握して、彼らに確実な学力(学士力)が身に付くように努めることでしょう。

わかる授業をつくる、学生の意欲を引き出す、授業を終えて認識が深まった・知識がふえた・力がついたと実感できる教育を行う。これによって、学問の面白さを知り、学問を基に考える経験を積み、学問によって感性も豊かにする。これが、今日の大学教育に求められる方向性です。

そこで佛教大学では、(1)教育目標、学生の到達目標が明らかで成績評価が厳正であるといった、大学の授業の基本を守っていけるシステムを維持すること、(2)教員による授業の点検・評価・改善の取り組みを支援すること、(3)自覚的に学び続ける学生の意欲を引き出すことを柱に、FD活動を組織的に行ってきています。

学生の現状をしっかりと見つめる

21世紀に入り、大学進学率が50%を超えるようになり、学生個々の学力や特性に多様性が見られるようになってきました。特に学習習慣が十分に身に付いていない学生も、大学に入っているのが現状です。

そうした現状の中では、大学教員が学生時代に受けてきたような授業のやり方は、現在の学生には十分には通用しないと認識すべきでしょう。そして、単位の実質化が強調されるようになってきて、一方通行的な授業ではなく、授業および予習・復習を含めて1単位当たり45時間の学習時間の確保が求められます。これを実現するためには、わかりやすい魅力的な授業を行い、学生が予習・復習をして授業内容を深められるような仕掛けを工夫しなければなりません。

ただし、学生の現状を把握せず過度の負荷をかければ、学生たちは学習意欲を失います。また各教員が担当する科目が、全体のカリキュラムの中でどの位置を占めているのかを考えないと、これも過重な負担を学生に強いたり、逆に別の科目で学んだ事の繰り返しになったりします。

そこで重要なのは、学生の現状を十分に把握するとともに、自身の担当科目が、カリキュラム全体のどの位置にあり、その到達目標がどこにあるのかを十分に把握して、授業を計画・運営することでしょう。

しかし、学生の実態把握や授業の工夫・設計などは、各教員が個人で取り組むには限界があります。そこで教育推進機構では従来から、学生の実態把握のために「基礎学力調査」や「英語基礎力調査」などを行い、さらに授業改善の一助として「授業アンケート」を実施して、データの可視化を行っています。これによって、教員個々のミクロレベルのみならず、学部・学科等のミドルレベル、大学全体のマクロレベルでの組織的改善の試みの情報を発信してきました。

このデータを利用しつつ学生の現状分析の研修会を行うとともに、各学部・学科の先生方から寄せられる、授業や学生理解に関する具体的方法について知りたいといった要望をうけて、理念的な事柄よりも、具体的なテーマを設定してFD研究会・研修会を企画し、教員個々の学生理解・授業改善が深まるような取り組みを行っています。

組織的FDの重要性

このような組織的取り組みによって、さらなる学生理解と、それに基づく授業改善やカリキュラム改革を行い、充実した学士課程教育を実現していかなければなりません。そのためには、FDがSD(staff development)の一環として位置づけられるように、教員ばかりではなく事務職員も巻き込んだ、「教職協働」による組織的改善の試みが必要でしょう。その牽引力となるのが、教育推進機構です。

授業改善をはじめとする大学教育の改善・改革には、何よりも組織的に取り組むことが重要です。

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